発表

1A-061

10代群、40代群、高齢者群における生涯発達過程認知

[責任発表者] 奥田 裕紀:1
1:金城大学

目 的
 これまで、多軸同心円スケールを用いて、生涯発達過程における発達項目の評定について検討した研究は限られており、10代の人達(中学生、高校生)に関する研究は行われていなかった。このため本研究では、10代の人達に対して評定を求め、40代群、高齢群の結果との比較を行うこととした。また、本研究では、これらの結果の中でも、特に発達初期(0歳~10歳)における各年齢群間の満足項目の評定平均値の差異を中心に示すこととした。

方 法
研究参加者:研究参加者は、合計150人であった。このうち50人は、10代群(中学生、高校生)で、50人は40代群(40~49歳)、50人は高齢者群(65歳~79歳)であった。全ての研究参加者に対し、本研究の目的、参加の任意性、プライバシーの保護方針などについて説明し、参加の同意を得た。また、10代群については保護者からも参加の同意を得た。
多軸同心円スケール:本研究で用いた多軸同心円スケールは、6つの同心円が描かれ、各同心円に内側から1、0.8、0.6、0.4、0.2、0と表示されたものであった。同心円スケール上には、0度の位置から12の軸が均等に配置されており、各軸の外側には、0度の軸から0歳、5歳、10歳、20歳、30歳、40歳、50歳、60歳、70歳、80歳、90歳、100歳の年齢が、右回りに表示されていた。
評定項目:多軸同心円スケールを用いて各評定対象年齢の自分が、“現在の自分に近い自分”“生活に満足している自分”、“幸福な自分”、“健康に自信を持っている自分”、“希望をもっている自分”、“意欲的な自分”に、あてはまる・近いと思う程度について評定を求めた。以下、各評定項目に関する評定を、現在近さ評定、満足評定、幸福評定、健康評定、希望評定、意欲評定とする。
結果と考察
 年齢群(3)×評定項目(6)×評定対象年齢(12)の3元配置分散分析の結果、評定項目および評定対象年齢の主効果、年齢群×評定項目、年齢群×評定対象年齢、評定項目×評定対象年齢、年齢群×評定項目×評定対象年齢の交互作用は、全て有意であった(p<0.01)。
また、満足評定における年齢群×評定対象年齢の単純交互作用も有意であった(p<0.01)。すなわち、満足評定において、10代群、40代群、高齢者群間の評定対象年齢による評定平均値の変化のパターンの差異は、有意水準に達していた。図1に示したように、幸福評定の評定平均値は、10代群では、10歳、5歳の順に高かった。40代群では、20歳が最も高く、0歳もそれに同程度に高かった。高齢者群では、評定平均値の最高値は70歳で示された。
発達初期(0歳~10歳)の各年齢群間の差異については、評定対象年齢0歳、5歳、10歳では、10代群、40代群の評定平均値は、高齢者群の評定平均値よりも有意に高かった(全て、p<0.05)。
10代群、40代群間の差異は有意水準には達していなかったが、10代群では、発達の最初期(0歳)の評定平均値は、10歳、5歳より若干低下した。これについては、10代群が現在の自分自身のことを高く評定する傾向があるために、その前後の年齢の評定値が相対的に低下した可能性が考えられよう。また、10代群と、40代群の自分自身のこどもの育児経験の相違なども影響している可能性も考えられよう(10代群には、自分自身のこどもの育児経験はないが、40代群の多くの参加者は、自分のこどもの育児経験を持つと思われる)。
満足評定に関して、幸福評定と同じく、高齢者群の発達初期の評定平均値が、他群の評定平均値よりも低かったことには、高齢者群が発達初期に経験した、非常に困難で混乱した社会的状況が影響していることが考えられよう。また、現在の高齢者群の年齢に近い評定対象年齢の評定が高まっていることが、発達初期の認知に影響した可能性もあるかもしれない。

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