発表

1A-058

認知的柔軟性とメンタルローテーション・うつ・不安の関連の検討

[責任発表者] 押山 千秋:1
[連名発表者] 須藤 千尋#:2, [連名発表者] 三輪 洋靖#:3, [連名発表者] 岡林 誠士:4, [連名発表者] 高西 淳夫#:5, [連名発表者] 坂爪 一幸:5, [連名発表者] 西村 拓一#:3, [連名発表者] 清水 栄司#:2
1:大阪大学連合小児発達学研究科千葉校, 2:千葉大学, 3:産業技術総合研究所, 4:文化学園大学, 5:早稲田大学

<目 的>
メンタルローテーション (Mental Rotation: 以下MR)の正答率は男性が有意に良い成績を示し、回転角度の大きさに対する成績も男性の方が女性よりも有意に優れている (Levine et al.2016)。MRの正答率は視覚的注意を含んだ神経ネットワークと関連し、中前頭回と後部頭頂葉にある頭頂間溝の活動で男女に有意な差がみられたという(Clickmanら2012)。MRでは広範囲な脳部位が活性化することが知られている(Tomasino and Gremese, 2016など) が、中でも回転実行に関わっていると考えられる後部頭頂葉(Cohen et al., 1996)は認知的柔軟性に関与していることが最近明らかになった(Sutoh et al., 2015)。認知的柔軟性はうつや不安と負の相関を示す(Oshiro et al., 2016)。MRの正答率が高い男性は, うつ・不安の有病率が女性の2分の1である (Rosenfield et al,1999.)。一方, 反応時間は運動準備や心理的状況と関連している(Rogersら, 2002)(Chen ら, 2013)。上記より、MR成績とうつ・不安の関連に対して、認知的柔軟性が影響しているという仮説を立てた。そこでまず、認知的柔軟性とうつや不安の程度、MRの正答率と反応時間の関連について検討することを本研究の目的とした。なお本発表に関連し、開示すべき利益相反関係にある企業等はない。また本研究はすべて、千葉大学医学研究員の倫理委員会の承認を得ている(承認No. 2261)。
<方 法>
関東近郊の3大学4学部(服飾デザイン, 教育, 医学, 工学)に通っている大学生及び大学院生325名から、データ不備などの3名を対象から外し、全てのデータがそろっていた322名(男性:144名, 女性:178名)を分析の対象とした。平均年齢21.1歳(SD=3.14)。各大学における授業後の20分(合計で200分)を使って, PHQ-9(うつ)GAD-7(不安)CFS(認知的柔軟性)とMRの正答率と反応時間を評価した。MR正答率と反応時間、PHQ-9、GAD-7、MR正答率と反応時間、CFSがどのように関係しているのかを検証するために、スピアマンの相関分析を行った。
<結 果>
CFSはMR正答率には正、PHQ-9には負の有意な相関を示していた。MR反応時間とGAD-7には相関していなかった。PHQ-9とGAD-7はそれぞれMR反応時間に有意に正の相関を示してしていたが、MR正答率には相関していなかった。PHQ-9とGAD-7は有意に正の相関を示していた(Table1)。
<考 察>
認知的柔軟性が高いほど、MR正答率は高くなっていた。後部頭頂葉に関連した認知的柔軟性は、正答率同様、視覚的注意を含んだ神経ネットワークと関連していると考えられる。一方、反応時間に対する直接の影響は見られなかった。また、認知的柔軟性が高いほど、うつの程度は低くなっていたが、認知的柔軟性は不安に対して影響していなかった。今後、男女やうつ・不安の程度の違いなど、階層的な分析を行うことで、認知的柔軟性がうつ・不安と反応時間にどのような影響を与えているか、詳細に検討していきたいと考える。
<謝 辞>
本研究に対し,御協力及び御示唆を賜りました千葉大学松澤大輔講師、濱田裕幸研究員、国立精神・神経医療研究センター本田学部長、福島県立医科大学会津医療センター丹羽真一教授、福井大学高橋哲也准教授に心より感謝いたします。

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