発表

1A-050

商品パッケージの高級感を規定する色要素と購買意欲の関連性

[責任発表者] 栗田 愛子:1
[連名発表者] 岩永 誠:1
1:広島大学

目 的
 買い物場面において,商品を見たときに知覚される属性は多次元に及ぶ。中でも高級感は,商品評価を高める効果を有しており(Hagtvedt & Patrick, 2008),商品パッケージにとって重要な要素の一つとなっている。高級感は,価格表記がなくとも,視覚情報だけで一貫した評価が得られることが示されているが(妹尾ら, 2011),具体的にどのような視覚情報が高級感に対応しているのかは明らかでない。
 そこで本研究では,商品パッケージの高級感を規定する色に着目し,商品の色要素が高級感や購買意欲といった心理的評価とどのような関連があるかを明らかにする。

方 法
実験参加者
 広島大学の大学生40名(男性21名,女性19名,平均年齢21.6±2.41歳)。
刺激
 高級感には,社会的側面(他人のため)と個人的側面(自分のため)があり,この二側面がギフト品を選ぶ際に機能する(Kapferer, 2012)。また,純粋に見た目による高級感の評価を検討するため,以下5点の選定基準を設けた。
1.商品パッケージによる差別化が有効である商品
2.大学生にとって馴染みの薄い商品
3.ブランド性の低い商品
4.性別を問わず比較的幅広い年齢層の人が購入する商品
5.お祝いやお土産としても選ばれることがある商品
以上の基準を満たす商品として,見た目のデザイン性が多様なブランデーを採用した。予備実験(男性5名,女性5名,平均年齢21.6±1.71歳)により,高級感高群・中群・低群で各3枚,計9枚の商品画像を選定した。商品画像は,オンラインショッピングサイト(http://www.kameya.jp/shopbrand/002/X/)から入手した。
手続き
 参加者の入室後,実験の説明を行い,同意書に署名を得た。その後,ブランデーの商品パッケージに対する感性評定課題を実施した。参加者は,モニタに提示された商品画像を見て,芸術性評価用語20項目(岡田ら, 1991)および高級感を評定した。また購買意欲の指標として,入手意欲(ほしい)およびギフト性(ギフトとして選びたい)を用いた。評定には,リッカート法(5件法)を用いた。
分析
画像の色情報を抽出するため,Photoshop CC(Adobe社)を用いて,7要素(R値(赤み),G値(緑み),B値(青み),平均RGB値(明度),RGB値のSD(色のばらつき),輝度,輝度のSD(金色感)を算出した。
(a) デザインと心理値の関係性 : 商品画像・色情報・評定された心理値について,数量化3類を適用した。
(b) 高級感が購買意欲に与える影響 : 群(高級感)および性別を独立変数,入手意欲・ギフト性の平均評定値を従属変数とし,2要因分散分析を行った。
結 果
(a) 数量化3類の結果,力量性(次元1)と活動性(次元2)に分かれた。固有値はそれぞれ,.05および.01であった。力量性には明度が,活動性には彩度が関係していると解釈された。高級感の規定要因は主に明度であり,「深みのある」印象との関連性が高かった。購買意欲と結びつきの強い印象は「好き」,「美しい」,「暖かい」であり,色要素としては赤みの強さが関連していた。
(b) 入手意欲・ギフト性を従属変数とした群×性別の2要因分散分析の結果,両変数ともに群の主効果のみが有意であった(Fs(2,76) > 30.65, ps < .001;図1)。高級感低群よりも中群および高群のほうが,入手意欲およびギフト性が有意に高かった(ts(38) < -5.01, ps < .001)。ただし,中群と高群の間に有意な差は認められなかった(入手意欲: t(38) = 0.22, p = .82; ギフト性: t(38) = -0.70, p = .49)。

考 察
高級感を規定する要因は,黒っぽく金色感のあるデザインであり,深みのある重厚な印象と結びつきが強いことがわかった。また,見た目の高級感は,入手意欲とギフト性に正の影響を与えることが示された。ただし,高級感中群と高群に差がなかったことから,一定以上の高級感を付与しても,購買意欲には影響しないといえる。
以上より,中程度の高級感を醸し出す,赤みの強い暖かなデザインが,ブランデーの商品評価を高めると考えられる。

引用文献
Hagtvedt, Henrik., Vanessa, M. P. (2008). Art infusion: The influence of visual art on the perception and evaluation of consumer products. Journal of Marketing Research, 45, 379-389.
妹尾正巳 (2011). 高級感という感性品質 日本化粧品技術者会誌, 45(4), 291-296.
Kapferer, J. N. (2012). The luxury strategy: Break the rules of marketing to build luxury brands. Kogan Page Publishers.
岡田守弘・井上純 (1991). 絵画鑑賞における芸術性評価要素に関する心理学的分析 横浜国立大学教育紀要, 31, 45-66.

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