発表

1A-032

早期療育における親子関係への援助効果 愛着形成に関連する分離不安と調律を通した評価から

[責任発表者] 大鐘 啓伸:1
[連名発表者] 大鐘 要#:1
1:名古屋女子大学

目的 母子保健法に基づき乳幼児健康診査が実施されている。この健診で発達に課題があると診断された乳幼児は,その後,専門的な療育などの援助を受け,親子関係を発達的に促進していく(大鐘,2011)。その親子関係の状態をアセスメントするものとして愛着がある(Stern,1985)。本研究では,発達障害児の早期療育が,愛着に関連して親子関係にどのような効果をもたらしているか調査する。
方法 調査対象:A市内の10保育園の保護者参観で行った親子遊びの場面とした。親子遊びで使用した遊戯は,日ごろ保育園で幼児が親しんでいる「うさぎさんの体操」であった。親子遊びへの参加に際して,事前に母親に対して調査のためにビデオ撮影する旨を伝え,了解を得た母親とその幼児88組の親子遊びの様子をビデオで撮影した。うち,39組は援助を必要とされてなかった母子(定型発達群,母親の平均年齢34.9歳(SD=3.8),幼児の平均月齢40.5月齢(SD=3.0)),31組は援助を必要とされて援助を受けた母子(非定型発達被援助群,母親の平均年齢34.7歳(SD=4.4),幼児の平均月齢41.8月齢(SD=3.2)),18組は援助を必要とされて援助を受けなかった母子(非定型発達未援助群,母親の平均年齢34.2歳(SD=4.9),幼児の平均月齢40.7月齢(SD=3.3))であった。時期はX年Y月であった。親子関係の評価:ビデオに撮影された母親と幼児の様子を,保育士によって,次のとおり評定した。1.分離不安の関係:親子が抱っこなど密着している状態を5点,乳幼児が保護者と安心して離れている状態を1点。2.調律的な関係:親子遊びを一緒に楽しんでいるかの評定。まったく両者が楽しく遊んでいない場合は1点,両者が十分に一緒に遊んでいる場合は5点。なお,評定は10人の保育士によって行った。
結果 定型発達群,非定型発達被援助群,非定型発達未援助群の親子関係について,愛着に関連する調律および分離不安による評価を行った結果,分離不安の平均は,定型発達群が1.75(SD=.56),非定型発達被援助群が2.89(SD=1.01),非定型発達未援助群が2.33(SD=.80)で,調律の平均は,定型発達群が4.23(SD=.46),非定型発達被援助群が2.69(SD=.79),非定型発達未援助群が1.77(SD=.54)で,分散分析を行った結果,分離不安については,定型発達群が一番低く,非定型発達未援助群,非定型発達被援助群の順で高くなっており(F(2,85)=11.29,p<.001),調律については,定型発達群が一番高く,非定型発達被援助群,非定型発達未援助群の順で低くなっていた(F(2,85)=115.94,p<.001)。
考察 親子遊びにおける親子関係を愛着に関連した行動として「調律」と「分離不安」で評価したところ,定型発達群は「調律」が高く,「分離不安」が低いことから,安定した愛着を形成しており,非定型発達被援助群型と非定型発達未援助群は「調律」が低く,「分離不安」が高いことから,愛着形成に援助が必要であると考えられた。また,非定型発達被援助群型は「調律」と「分離不安」の程度から葛藤を伴った愛着表現をしており,援助によって愛着形成が発達的に促進していることが示唆された。親子遊びに伴う親子の行動を「調律」と「分離不安」で評価することは,発達障害児の愛着形成に関して,早期療育の効果を評価できるものであろう。

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