発表

1A-027

対人援助職における行動分析的知識の検討3 小学校教員を対象とした調査における検討

[責任発表者] 宮 裕昭:1
[連名発表者] 岩橋 瞳:1, [連名発表者] 津田 真知佳:2
1:市立福知山市民病院, 2:京都府立舞鶴こども療育センター

目 的 
応用行動分析は発達障害や行動上の問題を有する子供の支援に有効な選択肢となることが示されている。しかし,小学校生活で彼らの最も身近な援助者である教員の養成プログラムに,応用行動分析を学ぶことが必須とされておらず,彼らがその知識をどの程度有し,それらにどのような特徴があるのかといった実態は明らかではない。そこで本研究では,「子供に応用する行動原理の知識」を測定する目的で考案されたKBPAC(Knowledge of Behavioral Principles as Applied to Children)を用いて実態の検討を行うことを目的とする。

方 法
調査対象者 A市の全21小学校に勤務する教員(教諭,講師,スクールサポーター)374名。職務歴は1年未満−40年(平均16.8年)であった。
調査方法 各校の校長が集まる会議の場で調査の趣旨説明と協力依頼を行った。賛同が得られた校長を通じて各校でKBPACの調査用紙を全教員に配布してもらい,個別に回答してもらった。配布から約1か月後に各校から調査用紙を回収した
調査内容 25設問からなるKBPAC邦訳短縮版(志賀,1983)を基本に,その文言を筆者らがより適切に修正したものを用いた。各設問には1つの正答を含む4つの選択肢があり,自分自身の考えにより近いものを1つ選ぶよう教示されている。
倫理的配慮 回答は任意・無記名であり,個人や校名が同定されないように結果処理されること,結果は学術目的で公表されることを予め書面で提示し,回答の諾否を任せた。

結 果
 374名中,300名の調査用紙を回収した(回収率:83.0%)。平均正答数は8.3個(平均正答率:33.0%,SD:2.88)だった。全7500回答(25設問×300名)中,無回答が199個,複数回答が28個あったが,それらは誤答とみなした。正答率が60%以上だった設問は番号1,5,10,12,17であり,中でも70%以上だったのは番号10と12(Table 1)だった。
次に,正答率が40%以下だった設問は番号2,3,4,6,7,9,11,14,16,18,19,22,23,24,25であり,その中で10%以下だったのは番号2,3,4,6,7,14,25(Table 2)だった。

考 察
設問全般の平均正答率が4割にも満たず,かなりの行動分析的知識を修得することが求められる現状であろう。
 特徴としては,目標行動への漸次接近の必要性や,罰を自傷他害の恐れのある危険な行動を減少する場合にこそ使用すべきであることを,最も多くの者が理解していた。一方,そもそも強化原理の知識がなく,不適切な行動や乏しい適応行動に対しては,随伴性よりも子供の知識や意図,欲求,認知を含む背景因に介入することで行動変容を試みることを是とする者や,習慣化途上にある行動に対しては,強化を中断し,感情に訴えることで当該行動の維持を試みることを是とする者が多かった。なお,これらの傾向は保育士や幼稚園教諭を対象とした調査と類似するものであった(宮・平田,2015)。
今後,自発行動は随伴性操作によって変容するものであることや,適応行動に対する強化の重要性を学ぶ必要があるものと考えられる。

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