発表

1A-021

防災意識尺度の作成(2):防災意識と防災行動との関連

[責任発表者] 尾関 美喜:1
[連名発表者] 島崎 敢:2
1:東京国際大学, 2:防災科学技術研究所

目 的
 多様な自然災害に見舞われる日本では、災害に備え、被害を最小限にするために、人々の防災意識を高めることの重要性が指摘されてきた。しかし、これまで防災意識とは具体的にどのような内容を指すのかが言及されてこなかった。このような現状を踏まえ、Ozeki et al. (2017)では、防災意識を「災害に対して日常的に、自らが被災し得る存在であることや、情報的・物的・社会的備えが必要であることを認識している度合い、また、自分や周囲の人の生命や財産、地域の文化や共同体を自ら守ろうとする程度」と定義し、防災意識を構成する内容を明らかにした。その結果を踏まえて作成された尺度が、島崎・尾関(2017)である。この尺度は、「被災状況に対する想像力」「現状に対する危機感」「他者志向性」「不安」「災害に対する無関心」の5因子で構成されている。本研究では、島崎・尾関(2017)による防災意識尺度を用いて、防災意識と防災行動と関連を検討し、防災意識の高い人間のとる行動を明らかにする。

方 法
 2017年2月に、マクロミルに依頼して、調査時点で熊本県在住者を対象にしたオンライン調査を行った。分析対象となったのは、成人男女618名(男性249名、女性369名、Mage=43.32、SDage=14.03)であった。
 防災意識 島崎・尾関(2017)を用いた。「あなたについてうかがいます。以下の項目に対してあなたにあてはまるものをそれぞれ1つずつお選びください。」という教示のもと、回答者は「1まったくあてはまらない」−「6とてもよくあてはまる」の6件法で回答した。
防災行動 Ozeki et al. (2017)において、防災意識の高い人がとっている行動として挙げられた項目をもとに作成した9項目について、「あなたについてうかがいます。以下の項目に対してあてはまる方をお選びください。」という教示のもと、「はい」「いいえ」の2択で回答した。

結 果 と 考 察
 防災意識尺度の5つの下位尺度について、それぞれ合計尺度得点を算出し、防災行動を尋ねる各質問において、行動をとっている群ととっていない群との間でt検定を行った(Table 1)。この結果から、地震保険加入以外の防災行動については、これらの行動をとっている人の方が「被災状況に対する想像力」「現状に対する危機感」が高く、「災害に対する無関心」が低いことが示され、「他者志向性」「不安」についてもほぼ同様の結果が得られた。この結果から、防災行動をとっている人の方が、防災意識が高いといえるだろう。地震保険の加入の有無による防災意識の差がみられなかったが、この点については、地震保険の加入自体が、世帯収入に依存するため、経済的事情の方が防災意識よりも地震保険の加入とのかかわりが強いためであると推察される。


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