発表

1A-020

防災意識尺度の作成(1)

[責任発表者] 島崎 敢:1
[連名発表者] 尾関 美喜:2
1:防災科学技術研究所, 2:東京国際大学

目 的
 防災意識の向上は国の防災基本計画に盛り込まれるなど,多方面でその必要性が指摘されている.しかし,防災意識を定義した研究は見当たらず,防災意識の尺度化を試みた研究も少数にとどまる.また,これらの研究で使われている質問項目は意識,すなわち心的な状態を訊ねる項目よりも防災行動を訊ねるものが中心である.このような現状を踏まえ、Ozeki et al. (2017)では, 防災意識を「災害に対して日常的に、自らが被災し得る存在であることや,情報的・物的・社会的備えが必要であることを認識している度合い,また,自分や周囲の人の生命や財産、地域の文化や共同体を自ら守ろうとする程度」と定義し,複数の防災の専門家に対するインタビューから,防災意識を構成する内容を明らかにした.本研究ではその結果をもとに,新たな防災意識尺度の作成を行う.

方 法
 2016年10月にマクロミルに依頼してオンライン調査を行った.分析対象となったのは成人男女618名(男性309名,女性309名,Mage=46.2,SDage=14.1)であった。回答者は,Ozeki et al. (2017) における「心的側面」に分類された内容をもとに作成された,60項目の質問について,「あなたについてうかがいます。以下の項目に対してあてはまるものをそれぞれ1つずつお選びください。」という教示のもと,「1まったくあてはまらない」−「6とてもよくあてはまる」の6件法で回答した。
 また,同じ回答者に対して,本研究で作成した項目の他に,防災意識に関連する先行研究(新井他, 2005; 石原他, 2012; 此松他, 2010;泰他, 2015)で用いられた質問項目にも回答するように求めた.

結 果
 回答のデータを用いて因子分析(一般化最小二乗法, promax回転)を行なった.固有値の減衰状況(9.679→5.184→2.604→2.226→1.440→1.187→0.966)と解釈可能性から,5因子解を採用しそれぞれの因子の信頼性係数を算出した.表1に因子分析結果(各因子上位4項目)を示す.
 分類された項目内容を検討し,第1因子は「被災状況に対する想像力(α=.906)」,第2因子は「現状に対する危機感(α=.869)」,第3因子は「他者志向性(α=.868)」,第4因子は「不安(α=.757)」,第5因子は「災害に対する無関心(α=.603)」と命名した.
先行研究で用いられた質問項目の合計得点と本研究の各因子の合計得点の相関分析を行なった結果,表2に示すとおり大部分で有意な相関が見られた.以上の結果から,今回新たに作成した防災意識尺度は妥当なものであると判断した.

引用文献
新井洋輔他(2005). 防災意識尺度作成の試み, 日本社会心理学会第46回大会発表論文集, 702-703.
石原凌河・村松暢彦 (2012). 津波常襲地域における生活防災意識の構造に関する研究-徳島県阿南市を事例として-, 日本都市計画学会都市計画論文集, 4(3), 1069-1074.
此松昌彦・中北綾香 (2010). 和歌山県北部の児童・生徒・学生に行った防災教育意識調査, 和歌山大学教育学部教育実践総合センター紀要, 20, 133-142.
Ozeki, M. et al. (2017). Exploring elements of Disaster-prevention consciousness: Based on interviews with anti-disaster professionals. J. of Disaster Research, 12(3), in press.
秦康範他(2015). 児童生徒に対する実践的防災訓練の効果測定 -緊急地震速報を活用した抜き打ち型訓練による検討-, 地域安全学会論文集 26, 1-8.

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