発表

1A-019

SNSの使用が社会関係資本及びレジリエンスに及ぼす影響(2)−レジリエンスへの影響の検討−

[責任発表者] 桂 瑠以:1
[連名発表者] 松井 洋:1
1:川村学園女子大学

目的
 桂・松井(2017)では,SNSの使用がSNSでの社会関係資本に及ぼす影響について検討した結果,SNSを使用するほど社会関係資本が高まると同時に,社会関係資本が多いほど一部のSNS使用が促進する可能性が示唆された。一方,社会関係資本はレジリエンスを高めることが指摘されており,社会関係資本が豊かなほど,コミュニティとのつながりが強まり,社会的資源を多く得ることができるため,レジリエンスが高まるものと考えられる。しかし従来の研究は,オフラインを対象としたものがほとんどであり,オンラインでの社会関係資本が個人のレジリエンスにどのような影響を及ぼすかを検討した研究はあまりみられない。そこで本研究(一連研究の(2))では,2時点のパネル調査を行い,SNSでの社会関係資本が使用者のレジリエンスに及ぼす影響について検討を行う。なお,SNSには多様なツールがあり,ツールによっても異なる影響が及ぼされる可能性が考えられるが,結束型と橋渡し型に分類すると,結束型のコミュニティにおいて社会関係資本が豊かであることを踏まえて,本研究では,結束型の傾向の高いSNSの1つであるLINEを対象に検討を行う。
方法
 調査時期・調査対象者
 1時点目調査は2016年5月21日から23日,2時点目調査は2016年8月22日から25日に実施した。2時点とも回答の得られた調査対象者数は500名であった。調査手続きは一連研究の(1)と同様である。
調査内容
 1時点目,2時点目ともに,同一内容を同一質問項目で尋ねた。
(1)SNSの使用に関する項目 1) SNS使用の有無,2) 1日のSNS使用量,3) SNSでの社会関係資本:一般的互酬性(「人を助ければ,いずれ人からも助けてもらえると思う」等),一般的信頼感(「一般的に人は信頼できるものだと思う」等)各3項目を作成し,SNS上でどのくらいあてはまるかを4件法で回答を求めた。
(2)レジリエンス 精神的回復力尺度(小塩・中谷・金子・長峰, 2002)21項目について,5件法で回答を求めた。
(3)デモグラフィック項目 性別,年齢,学校種,学年などについて回答を求めた。
結果
 得られたデータを用いて,一般的互酬性,一般的信頼感,レジリエンスの各尺度得点を算出した(Table 1)。そして変数の組み合わせごとに交差遅れ効果モデルを用いた共分散構造分析を行った。分析の結果,有意な効果が見られた変数として,一般的互酬性が高いほどレジリエンスが高まることが示された。一般的信頼感については有意な効果はみられなかった。また逆方向の因果関係についても同様に分析を行った結果,レジリエンスが高いほど一般的互酬性,一般的信頼感が高まることが示された。Figure1に,有意なパスのみを記した結果を示した。
考察
 分析の結果,社会関係資本が多いほどレジリエンスが高まると同時に,レジリエンスが高いほど社会関係資本が増加する可能性が示唆された。これは,SNS上で社会的資源や他者からのソーシャルサポートが得られることによって,個人のレジリエンスが高まると同時に,レジリエンスが高まることで,自らも社会的資源を提供するようになり,互酬性が高まるという循環関係が生じるのではないかと考えられる。ただし社会的資源の提供と享受のどちらが,どのような影響を及ぼすのか,またソーシャルサポートのうち,どのようなサポートが影響を及ぼすのかについては,本研究では検討していないため,今後の課題と考えられる。

詳細検索