発表

1A-017

LINEの効用認知尺度作成の試み

[責任発表者] 古好 誠人:1
[連名発表者] 宇都宮 真輝:1, [連名発表者] 津川 秀夫:1
1:吉備国際大学

近年,LINEは高校生にとって日常的に利用されるツールとなってきた。その利用率は約9割で,1日あたりの利用時間は約2時間とされる(ベネッセ教育総合研究所, 2014)。
これまで,携帯メールに関する研究は多く行われてきた。例えば,五十嵐ら(2003)は,携帯メールの利用が対人関係の様態にどのような影響を与えているか,ポジティブ・ネガティブの両側面から測定できる携帯メールの効用認知尺度を作成した。しかし,LINEを扱った研究はまだ少なく,コミュニケーションの特徴を捉える尺度の開発はされていない。
そこで本研究では,LINEのコミュニケーションの特徴をポジティブ・ネガティブの両側面から測定できるLINEの効用認知尺度の作成を目的とした。
方 法
調査協力者 岡山県内のA商業高校およびB工業高校に在籍する生徒512名(男性237人,女性275人;平均年齢17.07歳,SD=0.92歳)。
調査時期 2016年8月から9月。
調査内容 (1)フェイスシート:学年,性別,年齢,学科,LINEの利活用実態について回答を求めた。(2)LINEの効用認知尺度:予備調査および先行研究で収集した項目を分類し,LINEの効用認知尺度を作成した。項目数は36項目で,「全くそう思わない(1点)」~「非常にそう思う(5点)」の5件法により回答を求めた。
結果と考察
1. LINEの効用認知尺度の因子分析
 LINEの効用認知尺度について探索的因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行った結果,4因子23項目を抽出した。(Table1)。第1因子は「いつもLINEのことが頭から離れない」など,行動の束縛や不安を表す6項目からなり,「束縛感」と命名した。第2因子は「LINEで信頼関係が深まる」など,相手との親密さを表す5項目からなり,「親和充足」と命名した。第3因子は「LINEだと気軽に連絡ができる」など,利便さを表す7項目からなり,「利便性」と命名した。第4因子は「LINEでは,既読をつけると返さなければならないと感じる」など,気遣いを表す5項目からなり,「気遣い」と命名した。α係数は,「束縛感」が.77,「親和充足」が.87,「利便性」が.72,「気遣い」が.75であり,尺度に一定の信頼性が認められた。
 五十嵐ら(2003)の携帯メールの効用認知尺度と比較すると,「束縛感」「親和充足」「利便性」については,ほぼ同様の意味内容の因子が抽出された。また,「気遣い」については,五十嵐ら(2003)に該当するものはなく,携帯メールとは異なるLINE独自の特徴を表す因子として理解できる。
2. 性別による比較
 t 検定を行った結果,「束縛感」では,男性が女性よりも有意に得点が高かった(p<.05)。また,「利便性」では,女性が男性よりも有意に得点が高かった(p<.01)。石川(2006)では,携帯メールの束縛感について男性よりも女性の方が束縛感を強く感じることが示されたが,LINEにおいては男性の方が束縛感を強く感じることが明らかになった。
3. 利用時間による比較
 利用時間の平均値の+1SD(95人)を高群,-1SD(135人)を低群とし,t検定を行った。その結果,「束縛感」「親和充足」「利便性」「気遣い」において高群の方が低群よりも有意に得点が高かった(p<.01)。利用時間が長い人は,友好関係が深まることや,表現のしやすさを感じているが,同時にLINEに縛られ,気遣いをしながらやりとりを行っていることも明らかになった。
まとめ
 本研究では,LINEのコミュニケーションの特徴を測定できるLINEの効用認知尺度の作成を試みた。その結果,「束縛感」「親和充足」「利便性」「気遣い」の4因子23項目が抽出された。なかでも,「気遣い」については,携帯メールとは異なるLINE独自の因子であることが示唆された。

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