発表

1A-014

看護学生のコミュニケーション・スキルの特徴と推移—ENDCOREsを用いたコミュニケーション・スキルタイプの判定—

[責任発表者] 藤本 学:1
[連名発表者] 幸 史子:2, [連名発表者] 小山 記代子:2, [連名発表者] 河野 朋美:3, [連名発表者] 島村 美香:4
1:立命館大学, 2:帝京大学, 3:宮崎県立看護大学, 4:九州看護福祉大学

看護学生の中にはコミュニケーション・スキルが低い者が少なくない。そのため,看護基礎教育において学生のコミュニケーション・スキルの育成・強化が課題である(厚労省09)。そこで本論は看護学生のコミュニケーション・スキルの特徴とその推移を明らかにする。その際,平均値的検討に加え,個人のコミュニケーション・スキルタイプの変化にも注目する。

研究1 コミュニケーション・スキルタイプの特定と判定方法の考案
方法
 参加者 社会人1206名(男性363人,女性843人,42.74歳,SD9.37)および大学生3414名(男性2005人,女性1206人,19.85歳,SD1.88)の4620人
 使用尺度 ENDCOREsに回答を求めた(研究2・3も同じ)。
結果
 スキルタイプ クラスタ分析(Ward法)により9クラスタが得られた(表1)。
 判定方法 個人のスキル得点と各クラスタのユークリッド距離を次式で求め,最小値を示すクラスタをその人のスキルタイプにした。

研究2 看護学生のコミュニケーション・スキルの特徴
方法
 参加者 平成27~29年度にO大学に入学した看護学科1回生230名
結果
 分散分析 看護学生・社会人・大学生を独立変数とする分散分析・下位検定(HSD検定)の結果,自己統制・理解力・他者受容・関係調整は,社会人・大学生よりも看護学生が高かった(表2)。
 χ2検定 度数(表3)に有意な差が見られた(χ2(16)=958.04, p<.01)。看護学生は万能・均整・自制・受動型が,社会人は能動と回避型が,大学生は自制・主体・我執・内閉型が他に比べて多かった(表3)。

研究3 看護学生のコミュニケーション・スキルタイプの推移
方法
 参加者 研究2に参加した者のうち,1年次前期調査,3年次前期調査,3年次実習後調査の全てに参加した平成27年度入学の看護学生40人
結果
 分散分析 実習指導担当教員3名が協議により実習中活動を7段階で評価した。2~4を低中評価群(20人),5~7を高評価群(20人)とした。調査時期(3)×実習中評価(2)の分散分析・下位検定(Bonferroni法)を行った。有意な主効果について,関係調整は三年次より実習後が高かった。また,自己主張は低中評価群より高評価群が高かった。有意な交互作用について,表現力・理解力は実習後において低中評価群より高評価群が高かった。さらに理解力は,低中評価群において実習後より初年次・三年次が高かった。また,自己主張は実習後において低中評価群より高評価群が高く,高評価群において三年次より実習後が高かった(表4)。
 スキルタイプの変化 三年次と実習後のスキルタイプを比較したところ,低中評価群では下位タイプに変化した者の方が多かった。特に均整型の減少が著しく,自制型や受動型に変化していた。一方,高評価群では全員が上位タイプに変化していた。特に自制型が均整型や受動というバランスの取れたスキルタイプに変化していた。

考 察
 個人のスキルタイプの判定法として,ENDCOREsのスキル得点を用い,9種類のスキルタイプのうち最小距離のタイプに分類するというシンプルな方法を考案した。対象者をいくつかのスキルタイプにまとめて把握すれば,個々人の特徴を踏まえつつ,同時に群として捉えることができる。
 看護学生は初年次から一貫して管理系・反応系スキルに優れている反面,表出系のスキルは社会人や大学生と大差なかった。また,看護実習で高評価を得た学生は自己主張が高く,実習によってさらに表出系のスキルを伸ばした。一方,実習評価が普通以下の学生は長所であるはずの理解力を低下させた。以上より,看護学生には看護場面で正しく表現・理解し,自己主張できるスキルを育む教育が必要であると考えられる。

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