発表

1A-013

SNSで問題を起こす人に対するステレオタイプ的認知の調査

[責任発表者] 山本 真菜:1
[連名発表者] 宮下 達哉:2, [連名発表者] 木村 敦:2, [連名発表者] 岡 隆:2
1:大妻女子大学, 2:日本大学

目 的
 近年,SNS(social networking services)が普及するのに伴い,SNSを通じた迷惑行為や犯罪などの社会問題が多く発生している。例えば,SNSを通じて個人情報を漏えいさせてしまう,違法有害情報を発信する,誹謗中傷や悪口を書き込む,犯罪に巻き込まれるという問題がある1)。このような問題が生じないような,SNSの安全な利用行動を規定する要因の検討が必要である。
インターネットを利用する場合において,自分に対するリスク生起率を他人のリスク生起率よりも低く見積もることが示されている2)。このような非対称なリスク認知,つまり問題を起こす人は特殊であり,自分はそのような人たちとは異なるという認知が問題行動に関連する可能性が考えられる。そこで本研究では,大学生を対象として,SNSで問題を起こす人に対してどのようなステレオタイプ的認知を有しているかを調査する。

方 法
 参加者 大学生68名(男性26名,女性41名,不明1名,平均年齢20.24歳(SD = 1.62))が質問紙に回答した。
 質問紙の内容 最初に,SNSの具体例を挙げ,Facebook、Twitter,LINE,Instagram,mixiなどが含まれることを述べた。次に,SNSを利用する人について4つの質問に回答を求めた。
まず,SNSで意図せずに他人や自分の個人情報を漏えいさせてしまうのはどのような性格の人だと思うかという質問について,「SNSで個人情報を漏えいさせてしまう人は」に続く空欄に性格の特徴を記入するように求めた。5つの回答欄があり,すべてに回答しなくても構わないことを教示した。以下に示す質問の回答方法は同様であった。次に,SNSで悪ふざけで違法有害情報を発信するのはどのような性格の人だと思うかという質問について,「SNSで有害情報を発信する人は」に続く空欄に性格特性を記入するように求めた。次に,SNSで誹謗中傷や悪口を書き込むのはどのような性格の人だと思うかという質問について,「SNSで誹謗中傷や悪口を書き込む人は」に続く空欄に性格特性を記入するように求めた。次に,SNSを通じて犯罪に巻き込まれるのはどのような性格の人だと思うかという質問について,「SNSを通じて犯罪に巻き込まれる人は」に続く空欄に性格特性を記入するように求めた。
 最後に,参加者のSNS利用に関する質問を設けた。

結 果
 質問ごとに,自由記述での回答で度数が多かった特性語をTable1に示す。「SNSで個人情報を漏えいさせてしまう人は」に対する回答で度数の多かった特性語は,「うっかりしている(8)」,「危機感がない(8)」,「楽観的な(7)」などであった。「SNSで有害情報を発信する人は」に対する回答で度数の多かった特性語は,「目立ちたがりな(22)」,「自己中心的な(8)」,「注目されたい(8)」などであった。「SNSで誹謗中傷や悪口を書き込む人は」に対する回答で度数が多かった特性語は,「自信がない(8)」,「暗い(7)」,「寂しい(5)」などであった。「SNSを通じて犯罪に巻き込まれる人は」に対する回答で度数が多かった性格特性語は,「信用しやすい(7)」,「危機管理ができない(8)」,「騙されやすい(5)」などであった。
 なお,すべての参加者は,SNSの利用経験があった。

考 察
本調査の結果から,SNSを通じて問題を起こす人に対して,ネガティブなステレオタイプが持たれていることが示された。また,問題行動の内容によって,ステレオタイプの内容も異なると考えられる。今後は,SNSの安全な利用行動を規定する要因を検討するために,本調査で得られたステレオタイプ特性語を用いて,SNS利用におけるリスク認知とステレオタイプとの関係を検討したい。

引用文献
1) 総務省(2016).「インターネットトラブル事例集」
2) Cho, H., Lee, J. S., & Chung, S. (2010). Optimistic bias about online privacy risks: Testing the moderating effects of perceived controllability and prior experiment. Computers in Human Behavior, 26, 987-995.

注)本研究は科学研究費補助金 基盤研究B(課題番号16H03734 研究代表者 岡隆)の助成を受けた。

詳細検索