発表

1A-012

説得のためのコミュニケーション・スキルの開発(1)− 現代青年の説得的コミュニケーションへの態度と不安 −

[責任発表者] 牧野 幸志:1
1:摂南大学

目 的
近年,コミュニケーション・ゲームを用いたスキル訓練が注目されている(丹野, 2015)。例えば,丹野(2015)は,欺瞞と説得的要素を含んだ「人狼ゲーム」を用いてコミュニケーショントレーニングの効果を検討している。本研究の最終的な目的は,説得力を向上させるようなコミュニケーション・スキルを身に着け,向上させるトレーニングを開発することである。また,そのトレーニングは現代青年が比較的楽しみながらスキルを身に着けられるようゲーム性を持たせる必要があるだろう。そこで,本研究では,まず,現代青年が説得についてどのような態度を持ち,不安を感じていないのかを検討する。説得に対する一般的な態度の測定と説得納得ゲーム(杉浦, 2003)の体験後に、説得的コミュニケーションに対する態度を検討する。現代の青年が説得的コミュニケーションにどのような考えを持ち,不安を持っているのかを知ることは,今後,説得に役立つコミュニケーション・スキルの開発を行う際に役立つと考えられる。

方 法
調査参加者 調査参加者は関西地区の大学生194名(男性81名,女性113名,年齢幅18~25歳,平均年齢 19.25歳)。ただし,欠損値があるため分析により人数が異なる。
手続き 説得納得ゲームの行程は,西村・土井(2008)を参考に,(1)ゲームの目的と説明,(2)アイディアカードの説明と記入,(3)ゲームのルール・実施手順の説明,(4)セッション1の実施(15分),(5)セッション2の実施(15分),(6)振り返り(調査),(7)まとめ の順で行った。2人間の1回の説得時間は最長3分とし,それまでに相手の回答(納得した,しない)を得ることとした。また,説得の回数は最大3回(相手を変えて行う説得の相手は最大3人まで)とした。
調査項目の構成 説得に対する一般的態度に関する項目 人を説得することについて(5項目),人に説得されることについて(5項目) 説得納得ゲーム体験後の説得に対する態度に関する項目 説得する体験について(4項目),説得される体験について(4項目) に「まったくあてはまらない~非常にあてはまる」で回答(5段階評定)を求めた。数値が高いほど,その程度が高いことを示す。

結 果 と 考 察
1.現代青年の説得に対する一般的態度
人を説得すること 現代青年が人を説得することついてどのような態度を持っているかを検討した。まず,全体の平均値を検討したあと,性差がみられるかを検討した。1説得することへの不安 全体の平均値は3.34であった。性差を検討したところ,有意差はみられなかった(t(192) =-0.97, n.s.)。2意見を押し付けることへの抵抗 全体の平均値は3.34であった。性差を検討したところ,有意差はみられなかった(t(192) =0.25, n.s.)。3説得拒絶への不安 全体の平均値は3.87であった。性差を検討したところ,有意差はみられなかった(t (192)=-1.37, n.s.)。4説得は楽しい 全体の平均値は2.78であった。性差を検討したところ,有意差はみられなかった(t (192)=0.13, n.s.)。5説得成功は喜び 全体の平均値は4.34であった。性差を検討したところ,有意差はみられなかった(t (192)=-0.67, n.s.)。
人から説得されること 現代青年が人から説得されることについてどのような態度を持っているかを検討した。1説得されることへの不安 全体の平均値は2.55であった。性差を検討したところ,有意傾向がみられた (t(192) =-1.80, p <.10 )。男性よりも女性のほうが人から説得されることに不安を感じていた。2意見を押し付けられることへの抵抗 全体の平均値は3.06であった。性差を検討したところ,有意差はみられなかった(t(192) =-0.35, n.s.)。3拒絶後の相手からの嫌悪不安 全体の平均値は3.51であった。性差を検討したところ,有意差はみられなかった(t (192)=-1.33, n.s.)。4説得されるのは不快 全体の平均値は2.61であった。性差を検討したところ,有意差はみられなかった(t (192)=0.19, n.s.)。5説得されたときに不愉快 全体の平均値は2.42であった。性差を検討したところ,有意差はみられなかった(t (192)=0.41, n.s.)。
2.説得的コミュニケーション体験後の説得への態度
説得する体験後 参加者が説得納得ゲームの中で説得する体験をした直後の説得への態度を検討した。1対人不安 全体の平均値は3.47であった。性差を検討したところ,有意差はみられなかった(t(192) =0.50, n.s.)。2押し付けることへの不安 全体の平均値は3.09であった。性差を検討したところ,有意差はみられなかった(t(192) =-1.11, n.s.)。3説得拒絶への不安 全体の平均値は3.47であった。性差を検討したところ,有意差はみられなかった(t (192)=0.08, n.s.)。4拒絶後の不快感 全体の平均値は2.92であった。性差を検討したところ,有意傾向がみられた (t(192) =1.82, p <.10 )。女性よりも男性のほうが説得を拒絶されたときに不快に感じていた。
説得される体験後 説得納得ゲームの中で説得される体験をした直後の説得への態度を検討した。1対人不安 全体の平均値は2.58(5段階)であった。性差を検討したところ,有意がみられた(t(192) =3.48, p <.01)。女性よりも男性のほうが見知らぬ人に話しかけることに不安を感じていた。2押し付けられる不安 全体の平均値は2.57であった。性差を検討したところ,有意差はみられなかった(t(192) =2.44, p <.05)。女性よりも男性のほうが意見を押し付けられるのではないかと不安を感じていた。3拒絶後の相手からの嫌悪不安 全体の平均値は3.04であった。性差を検討したところ,有意差はみられなかった(t (192)=-0.40, n.s.)。4拒絶への罪悪感 全体の平均値は3.03であった。性差を検討したところ,有意差はみられなかった(t (192)=-0.74, n.s.)。

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