発表

1A-008

芸術系大学生に見る背景音楽の利用とパーソナリティの関連性~音大生と美大生の比較~

[責任発表者] 星野 悦子:1
1:上野学園大学

目 的
 現代人にとり身近な存在である音楽は、多くの機能を備えている。私たちは意識的かどうかにかかわらず、様々な目的で音楽を利用しており、背景音楽(background music)はその代表例といえる。星野(2014)は音楽専攻生の日常的な音楽聴取行動を調べたが、その8割強が種々の音楽ジャンルの曲を様々な生活場面で背景音楽として利用していた。本研究では美術を学ぶ大学生に対して同様の調査を行ない、音楽と美術の各専攻生の結果を比較検討する。また、2群におけるパーソナリティ傾向についても比較し、それと音楽聴取行動との関連を探った。
方 法
 参加者: 関東圏の私立音楽大学の女子学生76名(平均年齢20.0歳、範囲18~35歳、SD=2.3歳)、および私立美術大学の女子学生100名(平均年齢20.4歳、範囲19~26歳、SD=1.4歳)。専門の平均学習歴は、音楽学生が8.7年(2年から18年、SD=4.9年)、美術学生は5.04年(1年~18年、SD=3.3年)であった。
 質問紙: 『日常生活と音楽について』と題された調査用紙へ回答を求めた。項目の順に、(1)専門の正規学習を始めた年齢、(2)「生活の中で音楽を聞きながら何か別のことをすることがあるか」に対して「はい」の回答者のみ、続く背景音楽の質問に回答させた。(3)背景音楽を利用する8場面での利用頻度を4段階で回答(Fig.1参照)、(4)背景音楽として聞く音楽のジャンル、演奏家などの自由記述、(5)背景音楽開始年齢、(6)背景音楽がどんな状況でどう役立つのかを自由記述、最後に(7)「ニューカッスル・パーソナリティ評定尺度表」(ネトル, 2009)の12項目に対して5段階で評定させた。
結 果 と 考 察
 Fig.1では質問(3)に関する8場面での利用頻度の平均値を2群間で比較した。項目ごとに2群の差を検定したところ、両群には「レポート書き」(t(164)= -2.183, p<.05)、「入浴時」(t(164)= -2.54, p<.05)、「就寝前」(t(164)=-9.59, p<.01)において差が認められ(両側検定)、この3つに関しては、美大生の方が音大生よりも背景音楽の利用度が高かった。
 各群における背景音楽とパーソナリティの関連を見るために回答者ごと15の回答項目の値を変数として、正準判別分析を実施した。パーソナリティについは、ネトルのガイドラインに従い、ビッグファイブ次元の得点を高い(4点)、中間高め(3点)、中間低め(2点)、低い(1点)の4段階に当てはめた。Table 1 は音大生群と美大生群における標準化された正準判別関数係数である。絶対値の大きい変数が判別に寄与するが、両群の結果は以下のようになった。
音大生群で絶対値の大きな変数は、第1関数では専門書、レポート書き、小説、誠実性、神経症傾向がプラス係数、外向性がマイナス係数だった。勤勉で神経質で内向性の人ほど学習・読書に音楽を利用していた。第2関数では就寝前、小説、通学時、調和性がプラス、家事、入浴、外向性がマイナス係数で、協調を重んじる内向性の人ほど、就寝前や通学時に音楽を聞いていた。美大生群では、第1関数では神経質で協調的な人ほど、家事、就寝前など生活一般に音楽を取り入れた。第2関数では誠実性と学習読書に関するものがプラス係数で、勤勉な人ほど学習や読書時に音楽利用が高かった。

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