発表

1A-002

「心理学研究」の研究 (1)

[責任発表者] 小野寺 孝義:1
1:広島国際大学

目 的
 日本心理学会が発行している機関誌「心理学研究」は1926年に創刊され、長い歴史を有している。日本心理学会が幅広い心理学の分野と研究者をその会員としてきたことを考えれば、日本の心理学を代表する研究が掲載されてきたとみなしても差し支えないであろう。
 個々の研究はそれぞれに重要な知見を提供してきたが、ジャーナル全体としてみたときに、掲載される論文にはどのような特徴があるのか、研究の特徴はどのようなものなのか、また著者の属性はどうなのか、あるいは時代による論文の傾向はあるのかなどについてマクロ的に分析・報告されることはなかった。しかし、それらを知ることで日本の心理学がどのような特徴を持ち、過去から現在までどのように変遷してきたのかを把握する手がかりが得られるはずである。
 本研究ではジャーナルとしての「心理学研究」を個々の論文ではなく、全体として捉えて分析を試みる。今回はそのはじめとして基本的な統計量を報告する。
方 法
 対象とするのは1980年から2009年までに「心理学研究」に載った論文1620本である。この期間に限ったのはデータベースとして入力されたデータが現在も入力継続中であり、利用可能なものだったからである。なお、データベースは個人的に構築されたものである。 データベースに入力された属性は論文タイトル、キーワード、著者名、著者数、著者の所属、著者の出身大学、論文種別、実験・参加者の数や実験参加者の種別、受稿と受理の年月日、引用文献に関する情報である。
結 果
 最初に原著と資料、展望などのその他の論文という種別を示す。
掲載されるのはほぼ原著論文と資料であり、6割が原著論文であることがわかる。
 次に筆頭著者の出身大学についての結果を示す。ここでの出身大学とは最終的な出身大学を示す。例えばA大学を卒業後、B大学の大学院を出た場合にはB大学となる。また、大学名が変更されたり、内容が変わって前身となる大学と現在の大学の両方がある場合がある。ここでは、それぞれ別として表示している。最終出身大学が不明の44名を除いた1576名分の結果である。表2は上位10大学である。
累積%をみると100本以上を発表している上位6大学、そして筑波大学に東京教育大を加えれば「心理学研究」の5割以上を占めることがわかる。表では省略されているが、20本以上を発表している18大学になると8割以上を占める。
ただし、これは累計の結果であり、時代的な傾向はつかめない。そこで西暦カテゴリと上位大学の論文数を示したのが図1である。安定的に発表している大学と発表数が減少している大学があることがわかる。
考 察
「心理学研究」の論文は少数の限られた大学から投稿されている。ただし、そこには時代で増減の傾向がある。過去に比べて投稿可能なジャーナルが増えたことやそれぞれの大学の研究分野の違いが反映されている可能性がある。

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