発表

ITL-009

高次認知の進化と可塑性―比較研究と熟達研究からの知見―

[講演者] 宮田 裕光:1, [司会者] 長谷川 寿一:2
1:早稲田大学, 2:東京大学

本講演では、主に鳥類を対象とした問題解決能力の比較認知科学的研究、およびヒトの認知熟達や瞑想を対象とした認知心理学的研究という、異なる領域における講演者の研究からの知見を紹介し、ヒト高次認知の進化的基盤と特異性について考察する。ハトを対象とした行動実験からは、ハトが訓練によってコンピュータの画面上でのナビゲーション (迷路) 課題を解くことを学習し、1手前後先の手を読んだり、効率的な経路を選択したりする、といった一連の新知見が得られた。これらは、ヒトとも共通するプランニングないし表象操作能力が、幅広い種間で共有されている可能性を示唆している。一方、ヨーガや速読といった、東洋的精神修養に基づく成人の認知熟達を対象とした研究からは、文章理解能力や心理状態が、中~長期的訓練を通して永続的に変容していることが示された。これらは、芸道や宗教的実践にみられる、ヒトに特異的な心的熟達のあり方を示唆している。
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