発表

3B-022

ストレスマネジメント行動を実施している大学生のパーソナリティ特性と主観的健康観

[責任発表者] 松田 輝美:1
[連名発表者] 津田 彰:1
1:久留米大学

目 的
パーソナリティ特性は人間の行動に影響する要因である。セルフケア行動を決定するのは個人の健康観やパーソナリティ特性であると考えられる(村瀬・斎藤,2014)。日常生活の中で自らストレスをケアするためのストレスマネジメント行動を実施している大学生は, そうでない学生と比較して抑うつ度が低く, 主観的ウェルビーイングが高い(堀内ら,2009;伏島ら, 2013)。大学生の主観的幸福感と関連するパーソナリティ特性としては, 誠実性と外向性があげられるが(松田ら,2015),ストレスマネジメント行動の実施が,どのようなパーソナリティ特性と関連しているかは明確ではない。ストレスマネジメント行動を実施している大学生のパーソナリティ特性と主観的健康観について検討することで,ストレスのセルフケアを促すための要因の一つを解明できる。

方 法
調査対象:大学生168名(男性67名,女性101名,平均21.7±3.6歳)。調査時期:2016年5月。調査方法:心理学の講義時間に同意した学生を対象に質問紙による一斉調査を実施した。質問紙:ストレスマネジメント行動の5つの変容ステージ(前熟考期,熟考期,準備期,実行期,維持期)(堀内ら,2009:Prochaska et al., 1983),主観的健康観およびパーソナリティ特性としてHEXACO Personality Inventory (Lee & Ashton, 2004;Wakabayashi,2014),6因子(正直さ・謙虚さ,情緒性,外向性,調和性,誠実性,開放性)60項目5件法により測定。分析方法:ストレスマネジメント行動の変容ステージを独立変数,パーソナリティ特性の6因子それぞれの得点を従属変数として分散分析を行った。また,主観的健康観とパーソナリティ特性の関連を検討するため,主観的健康観を従属変数として重回帰分析を行った。

結 果
ストレスマネジメント行動を実施している学生は,実行期21名,維持期81名,実施していない学生は,前熟考期14名,熟考期14名,準備期23名,ストレスがないため実施していない学生は15名であった。ストレスのない15名を除いて,ストレスマネジメント行動の変容ステージを独立変数とした分散分析の結果,ストレスマネジメント行動を半年以上実施している維持期の学生は,実施していない学生に比べて外向性,正直さ・謙虚さ,開放性が有意に高かった(p<.05)。主観的健康観を従属変数とした重回帰分析の結果,外向性(p<.01)と正直さ・謙虚さ(p<.05)が正の関連を示した。

考 察
外向性があり正直で謙虚なことと,ストレスマネジメント行動の継続的な実施は関連しており,これらの学生は主観的健康観も高いことが明確になった。ストレスマネジメントのようなセルフケア行動は,個人の健康観やパーソナリティ特性と関連している(村瀬・斎藤,2014)。外向性の高い人は,運動を継続するためのソーシャルサポートが得やすいため(梅沢ら,2012),ストレスマネジメント行動も継続しやすくなる。ストレスマネジメント行動とは,人との会話,趣味や運動,ボランティアなどの社会的活動をすることであるから,社会性や活動性の高さを示す外向性と関連していると考えられる。また,正直さ・謙虚さは,倫理観の高さ(Cohen, 2015)や学業における自己評価の的確さと関連している(Kajonius, 2016)。自己のストレスや健康について客観的に評価できることが,ストレスマネジメント行動の実施と関連していると推察できる。しかしながら,その因果関係までは明確にできなかったため,今後は外向性や正直さ・謙虚さとストレスマネジメント行動実施の因果の経路の解明が必要である。



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