発表

3B-001

多面的協調性尺度の3因子解の検討—大学生と高校生のデータを用いて—

[責任発表者] 登張 真稲:1
[連名発表者] 名尾 典子:1, [連名発表者] 首藤 敏元:2, [連名発表者] 大山 智子:3
1:文教大学, 2:埼玉大学, 3:帝京科学大学

目 的
 登張他(2012、2016)は,多面的概念として協調性概念を捉え直し,大学生対象の調査をもとに協調的問題解決,協力志向,調和志向,非協力志向の4下位尺度からなる多面的協調性尺度を作成した。この尺度を用いて高校生対象の調査を行ったところ,同様の4因子が抽出された(登張他,2015a)。これらの尺度をもとに,親が子どもの協調性を評定する質問紙(共通項目もあるが,児童用に改変した項目も含む)が作成され,それを用いた児童の親対象の調査結果からは,協調的問題解決,協力志向,調和・同調の3因子が抽出され,非協調志向因子は抽出されなかった(登張他,2015b)。
大学生,高校生対象の調査から作成された多面的協調性尺度は,協調性の低さを表す非協調志向尺度を含むために,結果の解釈がかえって分かりにくくなっている。そこで,これまで行った大学生,高校生対象の調査結果を再分析し(具体的には,非協調志向の項目を減らして因子分析を行い),非協調志向を含まない3因子が抽出されるかどうか検討することとした。
方 法
調査1 対象:大学生男子181,女子215,不明5,計401名
    平均年齢19.51歳 2011年7月実施
調査2 対象:大学生男子237,女子260,不明4,計501名
    平均年齢19.80歳 2011年12月−2012年1月実施
調査3 対象:高校生男子325,女子380,不明1,計706名
    平均年齢16.47歳 2014年2月実施
測定尺度:多面的協調性尺度(登張他,2016)
高校生対象の調査3では,2項目の表現を変更したが,この2項目は高校生データでは相対的に当該因子(協調的問題解決)の負荷量がやや低く,内容的にも除いても問題がないと判断し,この2項目を除いて検討した。

結 果 と 考 察
 多面的協調性尺度を用いて大学生対象の調査1,調査2,高校生対象の調査3の3データについて,非協調志向の項目を減らし,因子数=3とする因子分析を行った(プロマックス回転)。いずれかの調査データで,複数の因子の負荷量が同程度になる項目は除いた。全項目数を12,または13とする探索的因子分析を行うと,3データとも,協調的問題解決,協力志向,調和志向を示すと考えられる同様の3因子が抽出された。その結果をもとに,確認的因子分析を行うと,GFIは.946−.959,CFIは.924−.948,RMSEAは.055−.066と,いずれも,満足すべき適合度をもつモデルとなった。
Table 1には,3調査データの13項目の確認的因子分析結果を示した。この結果をもとに作成した3尺度の項目数とα係数は,協調的問題解決(6項目)が.709−.748,協力志向(3項目)が.637−.714,調和志向(4項目)が.781−.792であった。
 3調査データの因子分析の結果,協調的問題解決,協力志向,調和志向を示すと考えられる同様の3因子が抽出され,確認的因子分析の適合度も高かったことから,高校生と大学生の協調性は,協調的問題と協力志向,調和志向の3側面で捉えられることが示唆された。協調的問題解決と協力志向は因子間の相関がやや高い(rs=.564~.642)が,教師対象の調査や児童の親対象の調査でも類似した3因子を抽出できることが分かっている(教師対象の調査の因子分析結果は未発表)。協調性をこの3因子で捉えるのは妥当と考えられる。
Table 1 3調査データの13項目の確認的因子分析

引用文献
登張他(2012)協調性尺度の開発 日心76回大会発表論文集,23.
登張他(2015a)多面的協調性尺度の作成 教育心57回総会
登張他(2015b) 親評定・児童用多面的協調性尺度の作成 
日心79回大会発表論文集,991.
登張他(2016)多面的協調性尺度の作成と大学生の協調性
文教大学人間科学部紀要,37,151-164.

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