発表

一般研究発表(ポスター)
1PM-076

空間方向と色イメージとの連合 -自閉傾向からの検討-

[責任発表者] 池田 華子:1
[連名発表者] 高橋 康介:2, [連名発表者] 和田 真#:1
1:国立障害者リハビリテーションセンター研究所, 2:東京大学先端科学技術研究センター

目 的
 右手は左手よりも明度の高い刺激に対して反応が速いといった,方向と視覚イメージとの連合が報告されている[1]。本研究では,空間的な方向という概念(上下左右)が特定の色のイメージと連合するか検討するために質問紙調査を行い,加えてこれらの連合が行動へも影響を及ぼすかを検討するために心理実験を行った。更に,自閉症者では異なる感覚情報の統合が特徴的であることが知られている[2,3]。そこで自閉傾向が方向と色イメージの連合に及ぼす影響についても検討した。
方 法
「実験参加者」:方向と色イメージの連合を確認する質問紙調査には98人が参加した。心理実験にはこれとは異なる15名が参加した。
「実験手続き」:質問紙調査では,黒・青・水色・紫・ピンク・赤・オレンジ・黄色・黄緑・緑・茶色・白といった12色の色から方向を表す単語(上下左右)とイメージが強く結びつくものを参加者に選択させた。心理実験では色と方向のイメージの結びつきが行動にも反映されるのかを検討するために,色と方向の連合課題を行った。課題に使用した色は質問紙調査の結果から,上下左右と連合の強かった4色(赤・青・オレンジ・緑)を採用した。課題では色と方向のペアをブロックのはじめに提示(教示ペア)し,その組み合わせが提示されたかその他の組み合わせ(非教示ペア)が提示されたかをボタン押しで回答させた。実験刺激として円形の色パッチ上に方向を意味する単語を重ねて配置したものが画面上に提示された。心理実験に加えて各被験者には実験に用いた4つの色のイメージが上下左右のどの方向と連合するかを質問紙で回答させた。また,自閉傾向をAutism-spectrum quotient (AQ)スコアで評価した。
結 果
 質問紙調査の結果,全ての単語に対して,連合するイメージとして選択されやすい色があった。具体的には上は赤,下は青,左は青もしくは緑,右は赤,が最も多く選択された。更に上下に結びつく色イメージは特定色への選択率の偏りが大きく,左右は個人によって選ぶ色にばらつきが多かった。
 心理実験の結果,色パッチと方向を意味する単語の組み合わせが参加者の連合イメージと一致する場合に,その組み合わせが教示ペアだった場合にはその組み合わせに対する反応時間が速くなる傾向がみられた(図1)。更に,教示ペアが参加者のイメージと一致する場合と不一致の場合との反応時間の差分の絶対値が, AQスコアの値と逆相関を示した(r = -.69, p < .05)(図2)。
考 察
 質問紙調査の結果,上下左右という異なる空間的な方向に対して,異なる色イメージが連合することが示された。加えて,方向と色のイメージの連合が行動にも影響を及ぼすということが示唆された。
 なお心理実験の結果,自閉傾向が強いほど,教示ペアが参加者自身の方向とイメージの連合と一致だった場合と不一致だった場合の反応時間の違いが小さかった。このことから自閉傾向が強いほど自身の方向と色イメージの連合が行動に反映されにくいという可能性が示唆された。
引用文献
[1]Fumarola, A., Prpic, V., Da Pos, O., Murgia, M., Umiltà, C., & Agostini, T. (2014). Automatic spatial association for luminance. Attention, Perception, & Psychophysics, 76(3), 759-765.
[2]Foss-Feig, J. H., Kwakye, L. D., Cascio, C. J., Burnette, C. P., Kadivar, H., Stone, W. L., & Wallace, M. T. (2010). An extended multisensory temporal binding window in autism spectrum disorders.Experimental Brain Research, 203(2), 381-389.
[3]Kwakye, L. D., Foss-Feig, J. H., Cascio, C. J., Stone, W. L., & Wallace, M. T. (2011). Altered auditory and multisensory temporal processing in autism spectrum disorders. Frontiers in integrative neuroscience, 4.

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