発表

一般研究発表(ポスター)
1AM-155

結婚コミットメントからみた中高年期の夫婦関係(2)

[責任発表者] 伊藤 裕子:1
[連名発表者] 相良 順子:2
1:文京学院大学, 2:聖徳大学

結婚生活の継続の質をとらえる指標としてコミットメントがあり,わが国の中高年期夫婦では,人格的コミットメント,諦め・機能的コミットメント,規範的コミットメントが明らかにされている(伊藤・相良,2015b)。本研究では,これら3つのコミットメントから結婚継続の型を抽出し,第1報に続き,その特徴を明らかにする。
【方 法】
調査対象:中高年期の男女で,男性692名,女性886名,計1578名。平均年齢は,男性62.1歳(SD11.7),女性59.9歳(SD11.8)。第1報より高齢期夫婦約600名を追加した。分析対象は,配偶者のいる男女1381名。調査方法:伊藤・相良(2015b)と同様。分析項目:1)結婚コミットメント:伊藤・相良(2015b)が作成した23項目5件法。2)関係満足度:夫婦の関係を10点満点で評価。3)低勢力認知:相良・伊藤(2010)が作成した6項目4件法。4)主観的幸福感:伊藤・相良・池田・川浦(2004)が作成した12項目4件法。
【結果と考察】
1.結婚コミットメントのクラスター分析
 どのコミットメント(以下Cと略)も男性と女性で平均値が有意に異なる為,男女別に得点を標準化し,クラスター分析 (Ward法)によって4クラスターを抽出した(Fig.1参照)。CL1は,男女いずれのCとも高いが,特に他のクラスターと異なり規範的Cが高いので規範型(男性n=160,女性n=78)とした。CL2は,諦め・機能的Cが低く,規範的Cも低いので愛情型(男性n=82,女性n=221)とした。CL3は,人格的Cが最も低いので疎遠型(男性n=114,女性n=150)とした。最後に,最も人数の多かったCL4は,いずれのCとも平均値に近く平均型(男性n=298,女性n=278)とした。
2.クラスターの特徴
 各クラスターの特徴を明らかにするために,夫婦関係満足度,低勢力認知,主観的幸福感について,男女別に一要因の分散分析を行った(Table 1)。下位検定はTukey法によった。関係満足度は,男女とも規範型・愛情型が高く,疎遠型が低く,特に女性の疎遠型が著しく低かった。主観的幸福感も,男女とも規範型・愛情型が高く,疎遠型が低かった。一方,低勢力認知では,男女とも疎遠型が高いのは当然だが,規範型も自らを低勢力だと認知しており,反して愛情型で低勢力認知が最も低かった。
 第1報(伊藤・相良,2015a)で扱った変数,年齢,愛情,性役割観についてみると,規範型が最も年齢が高く,性役割観も伝統的だった。愛情では,疎遠型が規範型・愛情型に比べ著しく低かった。
 これらの結果より,疎遠型はその特徴が明確だが,規範型と愛情型に共通するのは,関係満足度や愛情の高さ,主観的幸福感の高さである。一方,両型で異なるのは,低勢力認知と性役割観で,規範型は共に高く,愛情型は共に低い。日本の中高年期夫婦では,規範型も愛情型も,夫婦の円満さや精神的健康の高さという点で双璧だが,夫婦のあり方という点では大きく異なるといえよう。

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