発表

一般研究発表(ポスター)
1AM-126

親を生涯発達の観点から捉える試み(その8)——子どもの年齢上昇に伴って

[責任発表者] 林 昭志:1
1:上田女子短期大学

目 的
本研究では、親を生涯発達の観点から捉えるために、子育てしている親を対象に調査した。今回は父親から回答を得ることができた。また子どもの年齢が上昇している。このため、今回も調査サンプルが少ないという課題があるが、子どもの年齢上昇にともなう発達的変化の様子や、父親の観点からの子育ての様子などに関する探索的研究の試みとして報告する。
方 法
質問項目:過去の筆者の研究を参考にした。親としての成長を尋ねる項目を設定した。また自由記述の項目を設定した。
調査協力者:父親5名、母親0名であった。今回はこのように父親からの調査協力を得られた。筆者のこれまでの研究では母親が多かったので、今回の調査では父親と比較することができる。子どもの人数については、1人1名、2人3名、3人0名、4人1名であり、合計11名となった。子どもの年齢については、6才1名、7才1名、11才3名、13才2名、14才2名、15才1名,18才1名の以上11名であった。このように子どもの年齢は上昇した。子どもが青年期に入ろうとしている、または入った時期であった。これに伴う変化を見ていく。家族構成に関しては、すべて2世代家族(親と子どもたちで生活している核家族)であった。
結 果 と 考 察
 得られた回答の趣旨をまとめた。また少数のサンプルではあるが統計的仮説検定としてカイ二乗検定を試みた。
 子育ては大変だと思う親がやはり多く(df=2,P=0.0734)、子どものことで心配なことがある親が多い(df=2,P=0.0066)。よって現代はやはり子育てに困難が多い時代なのだと思われた。
 しかし子育ての方法をじっくり学びたい(df=2,P=0.447)、および、夫または妻は子育てに熱心である(df=2,P=0.447)、という回答においては「はい」が減少した。親は忙しいので、学びたくても時間がない、ということであると考えられた。
 子どものせいで時間が足りないと思う、という項目へは、全員が「いいえ」と回答した(df=2,P=0.0066)。忙しい実態があるにもかかわらず、子どもを理由に挙げない傾向が顕著だった。子どもが児童青年期に入り、乳幼児期のようには手がかからなくなったことが背景にあるのだろう。
 子どもとあそぶのは楽しい、子どもがいて幸せを感じる、と全員が回答した(df=2,P=0.0066)が、これからどうなるのか不安を感じる、においては減少した(df=2,P=0.447)。やはり、子どもは親に幸せをもたらすものであった。そして、子どもの存在を親は喜んでいることを示すものであった。子どもが家庭において親に喜びを与えている様子がうかがえた。
 子どもは自分の分身だと思う、自分の母または父とよく話す、子育て・育児サークルをよく知っている、は回答が「はい」「いいえ」に分かれた(df=2,P=0.2452)。
 子育て・育児サークルについては乳幼児向けのものであるので知らないのも納得できる。また、自分の父母と話すかどうかについては、環境の影響もあると考えられた。また、子どもが自分の分身かどうかについては、子どもの独立性・自立性を認めていくという養育態度があることが考えられる。
 子どもがもう少し大きくなれば子育ては楽になると思う、子どもとよく外出する、困ったらいつでもすぐ相談することができる、は「はい」が多かった(df=2,P=0.0734)。これは、乳幼児期と同様で、将来の改善を期待している様子がうかがえた。また、相談先がほぼ準備・確保されていることがうかがえた。
 「いいえ」が多かったのは、 市販の乳幼児向け教材をよく利用している、だった(df=2,P=0.0734)。今回は、この質問項目は乳幼児期との比較で使用したが、やはり回答は多くなかった。
 親の成長を尋ねる項目について述べる。親になって人間的に成長した、親になって考え方が柔軟になった、親になって精神的に強くなった、 親になって視野が広がった、親になって自分をより大切に思うようになった、に対しては、「はい」と「わからない」に分かれた(df=2,P=0.2452)。このように親は自分の成長を多くの側面で感じている様子がうかがわれた。だが一方で、自分が成長したかどうかわからない、という回答もあり、親の発達の複雑な様子がうかがわれた。
 子育てや親に関する質問については自由記述での回答を求めた。得られた回答の趣旨をそこなわないよう注意しながら回答の要点のみをまとめて報告する。 まず「親子で似ていることが多いと思いますか。それはどんな点ですか。」という質問項目に対しては、「性格(長所の)、人間性、話し方、食べ物の好み、食べ方、「多い」」などの回答を得た。やはり親子の類似性を認識していることがうかがえた。つぎに「親子または家族で行動の仕方が似ていることが多いと思いますか。それはどんな点ですか。」という項目に対しては、「性格(短所の)、態度、行動(短所の)、話し方、片付けの方法」などの回答を得た。ここでは行動の短所に注目されていることがやはり多かった。親子の類似点は長所よりも短所の方が挙げられやすい傾向があると思われた。つぎに「自分の家族に他の家族とは違うところがあるとすればどんなところだと思いますか。」に対しては、「すべての点、わからない、思いやり、愛情、習慣」などが挙がった。つまり家族同士の違いに関しても、多くの親が認識していることが示唆されたと思われる。また「父親と母親では子どもへの愛情に違いがあると思いますか。それはどんな点ですか。」に対しては「母の方が強い」という回答があった一方で「ない」が多かった。
文 献
林 昭志 2012 親を生涯発達の観点から捉える試み(その6)——子どもの発達に伴う親の変化—— 上田女子短期大学紀要,第35号,pp.11-19.ほか

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