発表

一般研究発表(ポスター)
1AM-121

保育園の親子遊びと親子関係の関連-保育園の親子遊び場面において親子関係はどのように展開するのか?-

[責任発表者] 大鐘 啓伸:1
1:名古屋女子大学

目 的
 保育園の保護者参観日は,家庭において親子が安定した愛着を形成するために,親子遊びを活用した子育て支援である(全国社会福祉協議会,2008)。保護者参観日に保護者が乳幼児の前からいなくなることはなく乳幼児とともに保育園にいることは,いつもと異なる場面として乳幼児の行動や情緒に影響する(大鐘,2012)。本研究では,保護者参観日に設定される親子遊びの展開によって生じる親子関係の行動パターンを分析し,幼児と保護者の関係に愛着の要因が作用する過程を考察する。
方 法
調査対象 A・B保育園の保護者参観で行った親子遊びの場面を調査対象とした。時期は20XY年Z月あった。親子遊びへの参加に際して,事前に母親に対して調査のためにビデオ撮影する旨を伝え,母親とその幼児20組から了解を得た。母親の平均年齢30.2歳(SD=2.7),幼児の平均月齢21.1月齢(SD=2.8)であった。なお,各保育園の園長に事前に保育士と幼児の関係を確認したところ,各幼児は日ごろ保育士に対して安定した関係が形成されていると評価されており,各幼児の指導要録には,保育場面で保育士と幼児が一緒に楽しく遊んでいることが記録されていた。親子遊びで使用した遊戯は,日ごろ保育園で幼児が親しんでいる「音楽(手遊び)」,「言葉(エプロンシアター・絵本)」,「模倣(ごっこ遊び)」を30分程度に設定した。母親にはみんなで一緒に遊戯するように教示した。その場面の母親と幼児の様子をビデオで撮影した。
分類および評定 ビデオに撮影された母親と幼児の様子を,筆者と2人の園長で,親子の近接行動および遊びの状況から,親子の関係を評価することとした。親子の関係の評価は,どの程度の接触または分離していて,どのように遊戯をしているかについて,親子関係を表している分離の程度と遊戯の程度で行動パターンを分類し,その行動パターンの時間数を遊びの種類ごとに集計した。
結 果
 各行動パターンの分類は,A;“接触・遊戯”(母親に抱っこなどで遊ぶ),B;“近接・遊戯”(母親のそばで遊ぶ),C:“分離・遊戯”(母親から離れて遊ぶ),D;“接触・傍観”(母親に抱っこなどで周囲を見ている),E;“近接・傍観”(母親のそばで周囲を見ている),F;“分離・傍観”(母親から離れて周囲を見ている)の6種類で,遊びの種類ごとの時間数は表1のとおりであった。音楽ではA;“接触・遊戯”とC:“分離・遊戯”の,言葉ではA;“接触・遊戯”とB;“近接・遊戯”の,模倣ではB;“近接・遊戯”とC:“分離・遊戯”の行動パターンが多かった。分散分析を行ったところ,遊びの展開によって,A;“接触・遊戯” (F(2,57)=44.85,p<.001)は言葉が,B;“近接・遊戯” (F(2,57)=6.18,p<.01) 及びC:“分離・遊戯” (F(2,57)=10.49,p<.001)並びにF;“分離・傍観” (F(2,57)=3.56,p<.05)は模倣が,D;“接触・傍観” (F(2,57)=5.41,p<.01)は音楽が有意に多かった。
考 察
 保護者参観で行った親子遊びの場面での親子は,最初は“接触・遊戯”と“分離・遊戯”が比較的多いが,その他の行動パターンも示しており,遊びが展開するに伴って“近接・遊戯”と“分離・遊戯”に変化していった。親子遊びの始めの頃,幼児は母親がここにいることを確認するために,母親に接触することが多かったが,合わせて様々な行動パターンを表現していると考えられた。それらの幼児の行動は,母親がいなくなるのではないかという幼児の分離不安の気持ちが現れていると思われた。また,様々な行動パターンは,幼児がいつもと異なる状況で,どのような行動をしたらよいのか分からない状態になっていたと推測された。一方で,幼児が親子遊びの展開の中で,母親に接触したり,親子遊びの様子を傍観したりすることは,探索的に母親がきょうはここにいてくれるということを確認していると思われた。そして,幼児は,探索的な行動によって,母親が継続的にいることを確認できると,母親から離れても安心して遊ぶようになった。幼児は日ごろ信頼できる保育者と一緒に遊んでいる親しんだ場所であっても,いつもと違う状況になった時,しかも,それが幼児によって情緒的に密接な存在である母親がその場面にいるかいないかということが行動パターンに大きく影響すると思われた。

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