発表

一般研究発表(ポスター)
1AM-114

対立行動分化強化を用いた大学生の遅刻への介入が受講生の遅刻と授業評価に与える影響

[責任発表者] 佐藤 栞:1
[連名発表者] 佐藤 寛:1, [連名発表者] 芝原 沙織#:1
1:関西大学

目 的
 大学の授業においても遅刻は問題視されており,しつけの不足や社会規範に対する意識の低下などが原因と考えられている(金子・小暮, 2005)。小学生では遅刻をする者はほとんどいないものの,中学,高校とすすむにつれて遅刻が増加し,大学における遅刻は日常茶飯事となっている(奥村, 1995)。遅刻は学習意欲や参加意欲の低下に伴って生じてくることが多く,不登校や無気力などの不適応行動の前兆となることもある(金子・小暮, 2005)。
 遅刻の減少を目指す研究はこれまでにも報告されているが(道城・松見, 2002),こうした介入が受講生にとって受け入れやすいものであるか検討した研究は存在しない。本研究では,応用分析に基づく介入によって大学生の遅刻の低減を試みた上で,介入が受講生から受け入れられているかどうかという点を授業評価アンケートを用いて検討する。
 
方 法
対象者 心理学を専攻する大学3年次以降配当の選択科目「健康心理学1」の履修者292名(男性79名,女性213名)を対象にした。
実施期間 2013年4月から2013年7月の期間に行われた全15回の講義のうち,11回を用いた(ベースライン期6セッション,介入期5セッション)。
遅刻の測定 2名の観察者が教室内で遅刻者の人数をカウントした。本研究では遅刻を「講義開始10分後までに講義が行われている教室に入室していないこと」と定義した。
介入手続き ベースライン期では,担当教員「この授業では遅刻は認めない」ことを全体に向けて口頭で伝えた上で,大学スタッフが毎回ランダムな時間帯に出席確認を行った。ベースライン期最終セッションに,次回の授業から出席確認が授業開始直後に行われというアナウンスが追加された。介入期では,上述の穴運背鵜を毎回繰り返し,大学スタッフが授業開始直後に出席確認を行った。
授業評価アンケート 第7回・第14回の授業の終わりに実施した。
 
結 果
 遅刻者数と出席者数の推移をFig. 1とFig. 2に示す。
 介入効果の検討にはTau-U(Parker et al., 2011)を用いた(Table 1)。遅刻者数についてベースライン期のトレンドを調節したTAUを算出したところ,ベースライン期では遅刻者の人数が有意に増加しており(TAU=0.60, p<.10),ベースライン期から介入期にかけて遅刻者数は有意に減少していた(TAU=-1.30, p<.001)。
 また,出席者数についてはベースライン期から介入期にかけて有意な差は見られなかった(TAU=-0.57, n.s.)。
授業評価アンケートの平均評価点について各従属変数において個別に一要因分散分析を行ったところ,「教員は授業の開始・終了時刻を守ろうとしていた」において時期の効果が有意傾向(F[1, 388]=3.29, p<.10),「授業に対する教員の熱意を感じた」において時期の効果が有意であった(F[1, 388]=4.07, p<.05)。その他の項目については有意な差は見られなかった。

考 察
 介入開始前は授業の回数を経るにしたがって遅刻者が増加していたにも関わらず,介入期では遅刻者が減少していた。出席者数ではベースライン期と介入期に差がないことから,本研究で実施した「介入は有効であったと考えられる。
 授業評価アンケートの結果から,介入を行ったことによって学生の教員に対する評価についてよい影響を与えたと考えられ,大学における大教室講義で有効な授業運営の手段と言える。
 今後はABAデザインなどを用いて,介入効果の維持についての検証を行っていく必要がある。

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