発表

一般研究発表(ポスター)
1AM-095

6歳児における転移を促す反復検索の効果(1)

[責任発表者] 多鹿 秀継:1
[連名発表者] 堀田 千絵:2
1:神戸親和女子大学, 2:関西福祉科学大学

目 的
 学習時に、読む、書き写すなどの記銘を繰り返すよりも、検索を挿入させると長期保持が促進されることが成人を中心とした研究において検証実験が成されてきた。それらの実験手続きを発展させる形で、著者らは、就学前の幼児においても検索の有用性について明らかにしてきた1)。さらに、反復検索は精緻化による学習よりも保持を維持すること2)や転移を促進すること3)が報告されている。
本報告では、検索が同時間記銘を繰り返すよりも、後続学習の転移を促す可能性について明らかにするべく、1週間後に類似した学習課題を提示し、検索と記銘による長期保持、及び般化の影響について検討を行うこととする。

方 法
実験参加者 6歳児24名(72ヶ月から81ヶ月)であり、半数ずつを精緻化、反復検索条件にランダムに割り当て、すべて個別に実施した。なお、精緻化学習条件は生活月齢が76.00 (言語年齢73.33)、反復検索条件は生活月齢が75.55 (言語年齢74.58)であり、両群とも生活月齢、言語年齢ともに群の平均年齢に差がみられなかった。
実験計画 3×2の混合要因計画であった。第1要因は、習得群(精緻化/反復検索)の参加者間計画であった。第2要因は、課題条件(事前テスト/事後テスト/転移テスト)の参加者内計画であった。
 (1)初回学習と回答チェック:実験者は幼児とコミュニケーションを十分に図った後、対象幼児すべてに対し、クイズごっこと称し、食物連鎖課題を用意した。4項目について、上位4種類の動物が何を食べるかについて事前に尋ね(e.g., クジラは何を食べると思う?カードを指さしてごらん)、正答数をチェックした。(2)反復検索/精緻化:半数の幼児を反復検索群、残りを精緻化群とした。両教示群ともに学習時間を2分とし、(1)とは異なる場面の5種類の動植物を提示した。反復検索群には食物連鎖のルールについて一度正答を教えた後、3回検索を繰り返した。精緻化群は、食物連鎖のルールについて一度正答を教えた後、再度話を交えて実験者から幼児にルールを教えた。(3)テスト:すべての幼児に対して、1週間後に(1)(2)の学習材料をランダムに実施した。

結 果
 Fig.1に、学習条件における課題別の平均正答数を示した。幼児が回答できた項目数を従属変数とし、2(学習)×2(課題)の混合要因の分散分析(ANOVA)を実施したところ、学習条件(F (1,22) = 10.56, p < .01)、課題条件(F (2,44) = 13.65, p < .001)の主効果が有意であった。また両者の交互作用が有意であった(F (2,44) = 3.20, p < .05)。以上の結果を要約すれば、全体として反復検索の方が精緻化よりも成績が高く、事前課題よりも転移課題、事前課題と同一の課題の順に成績が高くなった。この結果は、反復検索条件のみにあてはまり、精緻化学習条件は、1週間後の転移テストでは事前テスト同程度の成績水準であった。

考 察
以上の結果から、反復検索は一旦獲得した学習材料のみならず、1週間後の転移課題においても精緻化学習よりも成績が高かった。本研究が採用した精緻化学習は、食物連鎖の絵本をもとにしたストーリーベースのものであった。ストーリーを聴取した内容については1週間後も保持できていたが、転移を促すことを目的とする場合には、反復検索が有効であると結論付けることができよう。

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