発表

一般研究発表(ポスター)
1AM-051

身体イメージ彩色図法4 −対人不安傾向者の身体感覚の可視化−

[責任発表者] 今野 紀子:1
1:東京電機大学

1.目的
身体イメージ彩色図法[BCDM:Body state Coloring Diagram Method])は,自身の体の状態・感覚に焦点を当て,その感覚イメージを身体図に彩色する技法であり,体の状態や感覚へ目を向けることで,自身と向き合いながら心身の問題の解決・支援を図ることを目的に考案した.また本技法は,対象者の心身の状況・身体感覚・セルフイメージ等を把握するアセスメントとしても活用できる.今回は,この技法を利用して対人不安傾向のある者の身体感覚イメージについて調査した.
2.方法
本研究でのBCDMの手順をTable1に示す.BCDMに使用する身体図は,A4(縦297mm×横210mm)のサイズで,彩色には12色クレヨンを使用した.BCDMの施行は20名〜40名での集団方式とした.現在の体の状態への注意の集中,リラックス状態のイメージの所要時間は,全体の様子を確認しながら,それぞれ3分間程度とした.アウェアネスを含むその他については時間制限を設けず,対象者各自のペースで実施した.
2.2調査対象者:
対象者は,University Personality Inventory(UPI)の対人不安項目(「他人に悪くとられやすい」「他人が信じられない」など10項目)中,8項目以上に該当する者とした.2013年11月中旬に大学生83名(男性69名,女性14名,平均年齢20.6歳,SD:1.2)を調査した結果,13名(男性9名,女性4名,平均年齢20.7歳,SD:1.2)が該当した.なお,比較対象として,自覚症状の該当が34項目以下で問題項目すべてに該当がない者をコントロール群とした.全ての調査の実施と当該データの利用および発表に関しては,十分な説明の上,同意を得た.
2.3評価方法:BCDMの施行前(pre),身体図A 後(postA),身体図B後(postB)にVisual Analog Scale(0%[まったくない]〜100%[非常にある]とした)による主観的心理評価を行った.評価項目は「緊張,抑うつ,怒り,活気,精神的疲労感,混乱,不安,気分の良さ,身体的疲労感,身体的痛み」の10項目である.統計手法としてScheffe多重比較検定を用いた.
3.結果
BCDMの施行前preと,施行後postBの主観的心理評価において,コントロール群では緊張・抑うつ・混乱が5%水準で,精神的疲労感・身体的疲労感が1%水準で有意に低下した.また,気分の良さが5%水準で有意に上昇した.一方,対人不安傾向のある者は,すべての主観的心理評価項目で施行前後に有意な差は認められなかった. 現在の身体感覚イメージである身体図Aを,身体の枠外を含む41の部位に分割し,各部位への彩色の有無,彩色されている場合はその色遣いを調査した.対人不安傾向のある者が有意に彩色した部位(灰色部分)をFig.1に示す.適合度による独立性の検定の結果,対人不安傾向のある者は,コントロール群と比べて,頭部・胸部への彩色が有意に行われていることが判明した.
4.考察
対人不安傾向のある者には,BCDMの実施による有意な心理的作用は認められなかった.BCDMの展開2,3を「ストレス状態をイメージ」で実施した研究1)においても,全項目において有意な心理的作用は認められなかった.現在の身体状態がストレス状態に近いのかもしれない.展開2〜4を実施しないリラックスイメージ彩色の場合は,不安感・抑うつ・疲労感・緊張感・怒りの改善が認められた2).身体感覚イメージの可視化では,コントロール群と比べ,頭部・胸部に有意な彩色が行われていることから,対人不安傾向のある者は,頭部や胸部に何らかの違和感を抱きやすいことが示唆された.
引用文献
1)今野紀子,身体イメージ彩色図法が対人不安を抱える者に与える心理的作用,日本学生相談学会第30回大会論文集,p.97,2012.
2)今野紀子,身体イメージ彩色図法3−イメージ彩色が対人不安に与える心理的作用−,日本心理学会第78回大会,1AM-1-037,2014.
追記:本研究は,科学研究費補助金(基盤研究(C) 課題番号25380947)の助成を受けている.

詳細検索
アプリバナー iPhone版,iPad版 Android版