発表

一般研究発表(ポスター)
1AM-050

メールカウンセリングにおける効果方略 −受容・共感的アプローチとコンサルテーション的アプローチの比較−

[責任発表者] 宮崎 圭子:1
[連名発表者] 加藤 美佳#:2
1:跡見学園女子大学, 2:跡見学園女子大学附属心理教育相談所

目 的
 アメリカでは1997年に、アメリカオンラインカウンセリング協会(ISMHO: International Society for Mental Health Online)が設立されている。NBCC(the National Board for Certified Counselors)においてもウェブカウンセリングのガイドラインが作成された(NBCC,2005)。我が国においても、いのちの電話が2006年にインターネットによる相談を開設した(いのちの電話,2014)。しかし相談者の殺到により、新規受付をしていないようである。小林・宮崎(2014)は、ピアでの効果的なメール相談における方略について以下のことを報告した。1.被受容度を高めるセンテンスは、「共感的理解」に準じるもの、「無条件の肯定的配慮」に準じるもの、「積極的な励まし」の3つのカテゴリに分類できる。2.文章構造として、あいさつ文、内容文、締め文の3部構成が、被受容度を高める。改行などで分かれ目をわかりやすくすることが望ましい。3.メールの返信文には、ある程度の文字数が必要となる。しかし、この研究はピア相談である。一方、徳田(2011)、林(1999)は、メールカウンセリングはコンサルテーション的であることをめざすとしてる。以上より、本研究の目的は受容・共感的アプローチとコンサルテーション的アプローチのどちらがより効果的かを明らかにすることである。

方 法
調査時期:2014年6月中旬〜6月下旬、研究対象者:関東圏内の私立X女子大学の学部生302名(有効回答数284名)、調査内容:フェースシート、SFBT満足感尺度(鈴木,2010 一部文言修正)4つの下位尺度からなる計22項目、被受容感尺度(鈴木,2005)7項目、刺激文:予備調査後作成した4種類(失恋と就活の2つの主訴において各受容・共感的アプローチとコンサルテーション的アプローチ)のうち1種類の刺激文を読んだ後、上記質問紙に回答、調査手続き:授業中に一斉配布一斉回収。 

結 果
1.被受容度に与える影響 アプローチ方法(受容・共感、コンサルテーション)と主訴(恋愛、就職活動)を独立変数、被受容感を従属変数として分析を行った。交互作用、主効果共に見られなかった。
2.満足感に与える影響 「環境リソースへの気づき」、「効率的な改善」に5%水準で交互作用が見られたため、単純主効果検定を行った。両従属変数ともに、1%水準で就職活動群において受容・共感的アプローチよりもコンサルテーション的アプローチの方が、高いことが明らかとなった。「自己リソースへの気づき」においては有意な交互作用が見られず、コンサルテーション的アプローチの方が受容・共感よりも5%水準で「自己リソースへの気づき」が高い事が明らかとなった。


Table 満足感に与える差の検討

考 察
渋谷・武藤(2006)では、メールカウンセリングの際には単に受容と共感だけではなく、相手の苦しさを理解した上での必要な情報提供が求められるとしている。今回の研究で用いられたコンサルテーション的アプローチのメール文は、純粋にコンサルテーションだけではなく、受容・共感的な要素も若干含まれていた。そのことが受容・共感だけのメール文より満足感が高い結果となったと考えられる。また、有意差が出ていないことについて拡大解釈をすることは厳に慎まなくてはならないが、恋愛よりも就職活動の方がコンサルテーションに適しているとも考える事ができるのではないだろうか。幸田・楡木(2005)にて、産業領域におけるメールカウンセリングの事例報告の中で、コンサルテーション的な関わりも行っている。さらには、本研究では1回のやり取りでの刺激文での評価である。就活のような「キャリア」の主訴においては、初回で継続への強化刺激として、アドバイスのようなメッセージを送ることは、メールカウンセリングにおいては重要であることを示唆している。

引用文献
小林三千夫・宮崎圭子(2014). 効果的なメールカウンセリングにおける方略につていの研究 日本心理臨床学会第33回秋季大会発表論文集,106.

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