発表

一般研究発表(ポスター)
1AM-035

青年期の精神的回復力に及ぼす依存性と性差の影響

[責任発表者] 田村 隆宏:1
1:鳴門教育大学

目 的
田村(2013)では,青年期の精神的回復力に及ぼす依存性の影響が検討された。その結果,道具的依存性が高い者は低い者よりも精神的回復力が高くないことが明らかにされた。それに対して,情緒的依存性と精神的回復力との間には明確な関係が見いだされなかった。ただし田村(2013)の研究では被調査者の男女が混みにされており,性差による影響に関しては明らかにされていない。しかしながら,精神的回復力と幼少期の親子関係の影響を検討した田村(2014)の研究では性差によってその影響に違いが見られることが明らかにされている。このことから,精神的回復力に及ぼす依存性の影響についても性差によって違いがみられる可能性も考えられよう。そこで,本研究では青年期の精神的回復力に及ぼす依存性の影響が性差によってどのように異なるのかについて検討する。

方 法
調査対象者 調査対象者は専門学校生と大学生273人であり(女112人,男161人),平均年齢は19歳7ヶ月であった。
調査手続き 依存性を調査するために,依存性尺度(辻,1969)の道具的依存に関わる10項目と情動的依存に関わる10項目の質問について尺度評定を求めた。この尺度は例えば「仕事をするとき,手伝ってくれる人が欲しい」という質問項目に対して「4.はい」「3.どちらかというとはい」「2.どちらかというといいえ」「1.いいえ」の4段階で評定させるものであった。道具的依存とは「自己の要求または課題の実現のために他人に依存する場合」を指し,情動的依存とは「自己の心情的な安定を他人との接触ないし連合そのものを求めるような場合」を指す(辻,1969)。

結果と考察
道具的依存性,情動的依存性の高群,低群の男女について,精神的回復力の平均評定値とそれを構成する3つの因子に関わる平均評定値をTable1,Table2に示した。それぞれの依存性の高群と低群の評定値を比較するために2(依存性:高低)×2(性差:男女)の分散分析を行った。その結果,道具的依存性については,依存性×性別の交互作用が有意であり(F(1,162)=11.31, p< .001),単純主効果の検定を行ったところ,男性では道具的依存性低群が高群よりも精神的回復力に関する評定値が有意に高いのに対して(F(1,162)=38.02, p< .001),女性では道具的依存性高群と低群の間に有意差はみられなかった。各因子については新奇性追求,感情調整,肯定的な未来志向のいずれにおいても同様の有意な交互作用がみられた。それに対して,情緒的依存性については依存性×性別の交互作用が有意であり(F(1,180)=4.91, p< .05),単純主効果の検定を行ったところ,女性では情緒的依存性高群が低群よりも精神的回復力が有意に高いのに対して(F(1,180)=9.10, p< .01),男性では情緒的依存性高群と低群の間に有意差はみられなかった。各因子については新奇性追求と肯定的な未来志向に同様の有意な交互作用がみられたのに対し,感情調整には有意な交互作用はみられなかった。
 これらの結果から,男性の精神的回復力は道具的依存性には負の影響を受けやすく,女性の精神的回復力は情緒的依存性には正の影響を受けやすいことが明らかになった。本研究から,精神的回復力に及ぼす依存性の影響は道具的,情緒的といった依存性の質的な違いによって性差の関与のあり方が異なっているという複雑な側面の一端が明らかにされた。

引用文献
田村隆宏 2013 青年期の精神的回復力に及ぼす依存性の影響 日本心理学会第77回大会発表論文集
田村隆宏 2014 青年期の精神的回復力に及ぼす幼少期の親子関係と性差の影響〜両親との親密性に関する検討 日本心理学会第78回大会発表論文集
辻正三 1969 依存性テスト の検討 東京都立大学人文学報,67,11-23.

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