発表

一般研究発表(ポスター)
1AM-032

「運命の出会い」の感じやすさと占いの信じやすさの関連性

[責任発表者] 向居 暁:1
1:高松大学

目 的
 「運命の出会い」や「運命の人」は日常生活でよく聞く言葉であり、ポピュラー音楽や小説の題材としても多用される。向居(2015)は、女子大学生を対象に、質問紙において初対面の異性と出会う仮想場面を設定し、その刺激人物の外見的魅力、および、出会い状況の偶然性を操作することで、「運命の出会い」と感じる傾向や刺激人物の好意度に差異がみられるのかについて検討した。その結果、偶然性が操作できた1場面において、偶然性が高まると、特に刺激人物の外見的魅力の高い場合、その出会いが運命的だと感じられ、内面的魅力が高く、好意的な人物に感じられることがわかった。
 このような運命の出会いを信じることは、運命の決定感に基づいている。そして、運命の決定感は、占い(特に、運勢占い)の信憑性を支える核となっていることが指摘されている(村上, 2005)。つまり、占いを信じやすい人ほど、人生が予め運命で決定していると考えやすいため、運命の出会いをより感じやすいと仮定することができる。
 本研究は、向居(2015)のデータを利用し、運命の出会いの感じやすさと占いの信じやすさには関連があるのか相関分析と偏相関分析を用いて検討した。
方 法
 調査参加者 女子大学生256名(年齢:M=19.53、SD=1.14、range =18-26)が研究に参加した。
 手続き 調査参加者には外見的魅力が高い刺激人物2人と比較的低い2人がそれぞれ異なった場面で提示され、その人物に対する運命度(「この人とは出会うべくして出会ったのだと思う」など5項目)、好意度(「この人を恋人にしたいと思う」など3項目)、内面的魅力(「この人は思いやりがあると思う」など5項目)、外見的魅力(「この人は容姿がよいと思う」など3項目)、場面の偶然性(「この人との出会いは、かなりの偶然が重なったものだと感じる」など3項目)を測定する各尺度について評定を求めた(詳しくは、向居, 2015参照)。占いの信じやすさの指標として、坂田他(2012)の不思議現象に対する態度尺度短縮版(APPle SE/30)「占い・呪術嗜好性」の項目(6項目)を用いた(Apple SE/30全項目が実施された)。
結 果
 占いの信じやすさと運命の出会いの感じやすさとの関連を検討するために、占い・呪術嗜好性得点と運命度尺度得点(および、その他上述の尺度)について、相関分析、および、偏相関分析を行った(表1)。その結果、占い・呪術嗜好性得点と、運命度、好意度得点の間に有意な.20以上の正の相関が認められた。また、占い・呪術嗜好性得点と各尺度間の関連を検討するために、制御変数として残りの4尺度を投入し、偏相関分析を行った結果、運命度のみとで有意な正の相関が認められた。
 また、外見的魅力が高い刺激人物と比較的低い刺激人物のそれぞれにおいて、占い・呪術嗜好性得点と運命度尺度得点の関連について、同様の分析を行った。外見的魅力が高い人物における相関係数は.34、偏相関係数は.22となり、低い人物ではそれぞれ.25と.19であった(いずれも1%水準で有意)。
 占い・呪術嗜好性得点には、占いに関する3項目とおまじないに関する3項目が含まれている。そのため、占いに関する項目のみ(M=3.07、SD=0.94)で同様の分析を行ったところ、運命尺度との相関係数は.32、偏相関係数は.20となった(いずれも1%水準で有意)。
考 察
本研究の結果から、仮説通り、運命の出会いを感じる傾向は、占いを信じる傾向と弱いながらも関連があることが示された。この結果は、刺激人物の外見的魅力別の分析でもほぼ変化しなかった。また、占い・呪術嗜好性の項目から占いに関する項目のみを抜粋した分析においても同様であった。つまり、占いのみでもそれにおまじないを混ぜても、運命の出会いの感じ方について同じ傾向を示すということである。
このような運命の出会いを感じることや占いやおまじないを信じることの背景に共通するものは、曖昧さに対して寛容でなく、通俗的でもっともらしい説明に飛びつき、事象の因果関係や構造について深く考えようとしない態度であると推測される。曖昧さに対する不寛容は、占い・呪術嗜好性(坂田他, 2010, 2014)や「占い迷信」信奉(菊池・長谷川, 2009)と関連することが指摘されている(ただし、それぞれの研究によって結果は異なる)。また、占い・呪術嗜好性と「懐疑」(APPle SE/30)の間に有意な負の相関(r=-.25)が見られたのに対し、運命の出会いの感じやすさは、「懐疑」と明確な負の相関が認められなかったこと(r=-.12)から、こちらのほうが思考停止状態や批判感の欠如をより反映している可能性が示唆される。
引用文献
向居暁 (2015). 外見的魅力と偶然性が「運命の出会い」に及ぼす影響 日本認知心理学会第13回大会発表論文集
謝 辞
本研究は、著者の指導により行われた十河加奈子さんの卒業論文(2013年度・高松大学発達科学部)のデータを再分析したものである。ここに記して感謝の意を表したい。

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