発表

一般研究発表(ポスター)
1AM-027

情報探索行動尺度作成の試み

[責任発表者] 齋藤 玲:1
[連名発表者] 和田 裕一:1, [連名発表者] 河野 賢一:1
1:東北大学

目 的
 現代社会におけるわたしたち人間を取り巻く情報環境は劇的に変化しており,情報の量,あるいはそれを伝達するための機器や手段は増加,多様化の一途を辿っている。このような現代情報社会の変化は,わたしたち人間の行動に少なくない影響を及ぼしている可能性があり (cf., Sparrow & Chatman, 2013),とりわけ「人間が情報を検索したり探索したりする際の態度や行動」を意味する情報探索行動 (information seeking behavior)への影響は大きいのではないかと考えられる。またとくに情報探索行動の個人差に関していえば,つねに新しい情報を欲してインターネット検索をくり返すような人間もいる一方で,そのような行動には消極的な人間もいるというように,人間の情報探索行動にはある一定の個人差が存在し,昨今の情報環境の急激な変化はこのような個人差をよりいっそう際立たせる方向に作用している可能性もある。
 情報探索行動と類似の概念を取り扱った既存の尺度として,対人的情報環境,あるいは社会的情報環境における情報探求傾向を測定するための「情報探求性尺度 (3因子構造: メディア情報源の活用,対人的情報源の活用,一般的情報探求性)」がある (五十嵐, 2003)。当該尺度は一定の信頼性と妥当性が確認されているものの,能動的に情報を収集するという第3因子「一般的情報探求性」に関わる項目数が不足しているという著者自身の指摘がある。またたしかに,この尺度は情報を対人と対メディアのいずれかの外的環境に情報を求める傾向の強さを測定するには十分であるとは考えられるが,個人の情報探索行動そのもの,あるいはその広さや深さを測定するには十分ではないと考えられる。
 そこで本研究では,五十嵐の情報探求性尺度の質問項目に新項目を追加することで,情報探索行動をより包括的に捉えることが可能な尺度として情報探索行動尺度を作成し,その信頼性について検証する。

方 法
調査対象者
 インターネット調査 (楽天リサーチ: http://research.rakuten. co.jp/)により募集された日本人1200名 (20代,30代,40代,50代,60代,70代の男女100名ずつ)であった。

材料 (情報探索行動尺度)
 五十嵐の全13項目に対して,大学院生2名により考案された5項目を追加した全18項目とした。

手続き
 2015年3月にインターネット調査を実施した。

結 果
 全18項目について探索的因子分析 (最尤法・プロマックス回転)を行った結果,固有値の減衰状況 (6.754, 2.720, 1.226, .865, .728, .671…)と因子の解釈可能性から4因子解を採用した。つぎに複数の因子に同程度の因子負荷を示した1項目を除外し,17項目で再度因子分析を行った (Table 1)。これら4因子解の項目内容を検討すると,第1因子には“興味のあることについては、自分で情報を集める”といった自らの力による情報探索行動に関わる項目が集まり,第2因子には“新しいことをするときは、そのことに詳しい人に尋ねる”といった他者の力を借りた情報探索行動に関する項目が集まり,第3因子には“知りたいことがあるときには、本や雑誌、Webサイトを見る”といったメディアを利用した情報探索行動に関わる項目が集まり,第4因子には“最新の情報に敏感でありたいと思っている”といった一般的な情報探索行動に関する項目が集まった。これら4因子をそれぞれ「自主性」と「対人性」,「対メディア性」,「一般性」と命名した。
考 察
 因子分析の結果,情報探索行動への自主性を含む4因子が抽出され,情報探索行動尺度の信頼性がおおむね認められた。また因子間相関係数に着目すると,情報探索行動全般を示す「一般性 (F4)」とその他の因子とのあいだに中程度の正の相関が認められたが,これはF4がその一般性を反映しているということを踏まえると整合的に解釈することが可能となる。今後の研究では情報探索行動尺度の妥当性,ならびに他の諸要因 (メディア利用時間別や性別,世代別)との関連性についても精査していく必要があろう。

引用文献
五十嵐祐 (2003). 名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要.
Sparrow, B., & Chatman, L. (2013). Psychological Inquiry, 24, 273-292.

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