発表

一般研究発表(ポスター)
1AM-011

震災以降のミニブログに対する肯定的・否定的態度(2)

[責任発表者] 木暮 照正:1
1:福島大学

目的
 東日本大震災(2011.3.11発生)の直後,通常の通信ライフラインが切断される中,被災者の安否確認や震災関連の情報収集,発信等においてFacebookやTwitterといったソーシャルメディアが大いに利活用された。震災直後のソーシャルメディアの信頼性は,「NHK」「ポータルサイト」に次ぐ第3位であったが,それと同時に,信頼感が低下したメディアとしても,「政府・自治体の情報」「民放の情報」に次ぐ第3位と,比較的上位に位置付けられていた((株)野村総合研究所, 2011年3月)。ソーシャルメディアは「諸刃の剣」の側面が強いコミュニケーション・ツールであると認識されているのであろうか?
 木暮(2012)は,ソーシャルメディアの一つであるミニブログ・マイクロブログ(例:Twitter)に着目し,このサービスを利用しているユーザ(N = 500)を対象に,震災時のミニブログの肯定的・否定的態度とユーザ自身のパーソナリティ特性,ミニブログの利用状況等との関連性について検討を行った(調査実施時期は2012年1月)。その結果,ユーザ自身の社会的適応度が高いとミニブログに対する肯定的態度が,自己実現性が未熟であると否定的態度がそれぞれ強まる傾向にあること,ミニブログでの交流人数が多いほど肯定的・否定的態度がともに強まる傾向,すなわち,ミニブログは「諸刃の剣」の側面があると認識される傾向にあることがそれぞれ示唆された。
 本研究では,木暮(2012)の約1年後に実施した同種の調査データにおいても,この傾向が再現されるのか検証を加えた。
方法
調査対象者:ミニブログを利用しているユーザ1,000名(平均 = 40.2歳,SD = 11.29,範囲 18-76歳,男性602名,女性398名)。
調査項目:震災時のミニブログの有効性(安否確認,公的な情報の収集,マスコミ情報の収集,個人が発信する情報の収集,被災者・被災地支援の5項目)について4件法で尋ねた(「たいへん役に立った」(4)から「全く役に立たなかった」(1))。また,震災時のミニブログの問題点(流言・デマの流布,公人の誹謗・中傷,一般人の誹謗・中傷,緊急性・重要性の低い情報の拡散,古い情報の継続的拡散の5項目)についても4件法で尋ねた(「問題を多いに感じた」(4)から「全く感じなかった」(1))。自分自身のミニブログのアカウント特性(実名か匿名か,単一か複数か)と利用開始時期(震災前からか震災後か),利用頻度(閲覧のみか投稿しているか),ミニブログでの交流人数(50名未満か以上か)について尋ねた。パーソナリティ尺度としては,個人志向性社会志向性PN尺度(伊藤, 1995)を尋ねた。
調査方法:(株)楽天リサーチに委託して,WEBベースのオンライン調査形式で実施した。調査時期は前回調査の約1年後の2013年2月であった。
結果と考察
 ミニブログの有効性(5項目)と問題点(5項目)に対する評価について因子分析(主因子法)を実施したところ,ともに1因子解が採択された(肯定的・否定的態度)。肯定的態度得点の平均は2.52 (SD = .749),否定的態度得点は2.74 (SD = .702)であり,両得点間の相関は中程度であった(r = .30, p < .001)。このことより,今回のデータにおいてもミニブログは「諸刃の剣」と認識される傾向が認められたといえる。
 デモグラフィック変数(年齢・性別・被災経験・有職)とパーソナリティ変数(個人志向性社会志向性)を説明変数,ミニブログの利用変数(アカウントの匿名性・数・利用開始時期・ツイート投稿の有無・交流人数)を媒介変数,ミニブログに対する態度を被説明変数として,共分散構造分析を実施し,有意(p < .05)となったパス係数・相関関係のみを残し,最終的にFigure 1のモデル図を採択した(χ2(16) = 50.66, p < .001, GFI = .987, AGFI = .972, CFI = .903, RMSEA = .047)。
 木暮(2012)とほぼ同様の傾向が示されたが,前回とは異なり,社会的適応度の高さは,ミニブログに対する肯定的態度だけではなく,否定的態度にも正の影響を及ぼしていた。このことより,交流人数に加えて,社会的適応度の高さも,ミニブログは「諸刃の剣」の側面があるという認識と関連性があることが示唆された。
引用文献
伊藤美奈子 (1995). 個人志向性・社会志向性PN尺度の作成とその検討 心理臨床学研究, 13, 39-47.
木暮照正 (2012). 震災以降のミニブログに対する肯定的・否定的態度 日本心理学会第76回大会発表論文集(専修大学)
野村総合研究所 (2011.3.29). ニュースリリース「震災に伴うメディア接触動向に関する調査」を実施〜NHKへの信頼度が上昇し,ソーシャルメディアも存在感〜http://www.nri.co.jp/news/2011/110329.html
備考:本研究の実施にあたっては,平成24年度福島大学プロジェクト研究推進経費の助成を受けた。

詳細検索
アプリバナー iPhone版,iPad版 Android版