演題
OP-028-3
食道扁平上皮癌におけるPD-L1発現と上皮間葉移行に関する検討 |
【背景】PD-L1は癌細胞の宿主免疫回避機構に関与する。一方、PD-L1プロモーター領域にはEMT誘導因子ZEB-1の結合領域が存在する。【目的】食道扁平上皮癌(ESCC)におけるPD-L1発現の意義を明らかにする。【対象】ESCC切除例44例、ZEB-1高発現食道癌細胞株(TE8)。【方法】免疫染色を行い、腫瘍先進部のPD-L1発現を評価した。TE8にてZEB-1をsiRNAでノックダウンしPD-L1発現を解析した。【結果】PD-L1発現を31例(70%)に認めた。PD-L1(+)は深達度が深い症例が多く(pT2以深:PD-L1(-)18% vs (+)63%, P<0.05)、予後不良であった (5年生存率:PD-L1(-)57% vs (+)32%, P<0.05)。PD-L1(+)にはEMT症例を多く認めた(PD-L1(-)9% vs (+)47%, P<0.05)。また、TE8におけるZEB-1ノックダウンによりPD-L1 mRNA発現が抑制された。【まとめ】ESCC腫瘍先進部におけるPD-L1発現はEMTおよび悪性度に関与する。癌の進展過程において、腫瘍免疫回避機構とEMTが協調して働く可能性がある。