【目的】プロテオーム解析を用いて肝転移に関連するバイオマーカーを同定し、新規診断・治療薬の開発へと発展させることを目的としている。【方法】原発巣および転移巣に対して術前治療が行われていない症例を対象とし、同一患者から切除された大腸癌原発巣および肝転移巣の凍結検体(12組24検体)を用いた。少量の検体より膜蛋白質を効率よく消化、回収が行える相間移動溶解(PTS)法を採用した。プロテオーム解析においては、多サンプル間の比較解析を正確に行えるように、Tandem Mass Tag (TMT) テクノロジーを用いた定量的蛋白質発現解析を行った。抽出した膜蛋白は、TMTラベルした後に陽イオン交換チップカラムにより分画し、LC-MS/MS解析(Q-Exactive)を行った。【結果】12組24検体を各検体2回のLC-MS/MS解析を行い、全体で4967種類の膜蛋白質を同定した。この中で、5症例以上で共通して発現量が2倍以上変化した蛋白質は58種類(亢進38、低下20)同定された。