演題

特別ビデオセッション—メスの限界に挑戦した手術—
SV-14

弁形成術の限界を求めて

[演者] 澤﨑 優:1
[著者] 泊 史朗:1, 在國寺 健太:1, 今枝 祐輔:1
1:小牧市民病院心臓血管外科

僧帽弁閉鎖不全症に対する形成術は今日では一般的となったが、難易度の高いものもある。我々は1992年より、あらゆる病理に対する僧帽弁形成術を行ってきた。特に、Barlow病、感染性心内膜炎に対する僧帽弁形成術は難易度が高い。Barlow病の病理は、弁膜と腱索のmyxomatous degenerationで、弁輪拡大を伴う。手術の基本は変性し巨大化した弁尖を前尖、後尖3枚ともに正常なサイズに形成することが基本である。全周性の人工弁輪を使用しないと弁輪拡大の進行に伴い弁尖が再拡大を起こし、Barlow病が再発するので注意を要する。感染性心内膜炎は多くの場合、疣種のていねいな廓清が手術の要点となる。いかに激しい病変でも疣腫を除くと基礎弁膜病変が見えて来る。そして、通常の弁形成手技を組み合わせて行うと意外と容易に形成可能なことが多い。リウマチ性弁膜症はいくつかの形成術を行ってきたが、初期成績は良いのであるが、10年程で再発性の弁狭窄を起こすことが多く、人工弁の方が望ましい場合が多いと考えている。大動脈弁閉鎖不全症に対する形成術は、今日でも一般的ではない。我々は1997年よりまずは、先天性二尖弁に対して行った。2枚の弁の形態を整えるのは比較的容易であり遠隔成績も良い。術式の基本は癒合弁線のpseudocommissureの三角切除か縫縮であるが、symmetric prolapseの問題があるため、非癒合弁尖の高さも整え、弁輪径も縫縮する必要がある。三弁尖の大動脈弁閉鎖不全症の形成は最も難度が高い。しかし、この病理も弁膜の形態と大きさ、弁輪径との関係を理解すれば形成可能である。central plicationでeffective heightを整え、geometric heightの平均値から弁輪径を計算し、弁輪縫縮を行うと逆流は制御可能となる。大動脈弁基部拡張を伴っていても、この原理は同じで、自己弁温存大動脈基部再建術に大動脈弁形成術を追加すれば良い。近年、大動脈弁狭窄症が増加し、これに対しても、自己心膜を用いた弁再建術が開発され、中期成績は良好である。我々は、ブタの大動脈弁がヒトのものに類似していることから、ブタ弁をモデルとしたテンプレートを作成し、自己心膜を用いて弁の再建術を行っている。自己弁組織を用いた形成術は、生体弁、機械弁よりもQOL、耐久性ともに優れていると信じて形成術に挑戦している。
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