演題

特別ビデオセッション—メスの限界に挑戦した手術—
SV-13

左室流出路狭窄を伴う完全大血管転位症に対するhalf-turned truncal switch手術

[演者] 山岸 正明:1
1:京都府立医科大学小児医療センター小児心臓血管外科

VSDとPS(左室流出路狭窄)を伴う完全大血管転位症(TGA)および大血管転位型の両大血管右室起始症(false Taussig-Bing奇形)に対する既存術式は、Rastelli手術、Lecompte(REV)手術、Nikaidoh手術であるが、これらの術式は種々の問題点を有している。われわれは本疾患群に対して、両半月弁を一塊として切除して180度回転した後に対側の流出路に縫着するhalf-turned truncal switch手術を採用している。適応:本疾患群のうち、①大血管関係が前後もしくは斜位、②肺動脈狭窄が軽度〜中等度(肺動脈/大動脈径比=0.3〜1.0)、③両心室容積がそれぞれ対正常比70%以上の症例は本術式の良い適応となる。RastelliやREV手術が適応困難な狭小VSD、remote VSD例にも適応可能である。また肺動脈二尖弁症例に対しても動脈スイッチに代わって適応できる。通常の冠動脈形態(Shaher 1型)であれば本症の適応に問題はないが、主要冠動脈が右室流出路前方を横送するような症例では適応外となる。手術:両半月弁を心基部より切除。漏斗部中隔(IF)は横切もしくはVSDに向かって切断をする。左室流出路(LVOT)が狭小な症例ではIFを切断し、VSD patch上縁にてLVOT拡大を行う。大動脈弁輪をLVOTに縫着。この際、本来の弁輪よりもやや上方に縫着することで、冠動脈(特に左冠動脈)の屈曲を予防する。冠動脈は対応する欠損部に縫着する。肺動脈弁輪を右室流出路(RVOT)に縫着。弁輪径が小さい場合は前方を切開しtransannular patchにて拡大する。前方に転位した肺動脈分岐部と肺動脈主幹部遠位端を吻合するが、左右肺動脈が過伸展するようであれば自己心膜にて拡大形成を行う。結果:1992年5月より2014年8月までに14例に施行。診断はTGA 11例、false Taussig-Bing奇形 3例。手術時月齢は3ヵ月〜5歳。手術時体重は5.4〜13.3 kg(平均8.7 kg)。PA/Ao annular diameter ratioは0.43〜1.0(中間値0.72)。肺動脈弁輪温存3例。右室流出路パッチ拡大術11例。術後観察期間は1ヵ月〜11年。全例生存。右室流出路および左室流出路に対する再手術例を認めなかった。遠隔期心電図で虚血所見を示した症例は認めなかった。考察:本術式は従来手術に比して手術侵襲が大きくなるが、自己組織を最大限に利用し、形態的にも正常心に近い構造が再建できるため再手術の可能性が低く、良好な遠隔成績が期待できる。
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