演題

特別ビデオセッション—メスの限界に挑戦した手術—
SV-12

末梢動脈バイパスまたは足部静脈系動脈化バイパス法と遊離筋皮弁移植の併用による重症虚血肢の救肢

[演者] 笹嶋 唯博:1
[著者] 小山 富康:2, 小久保 拓:1, 大久保 直子:1
1:江戸川病院血管病センター, 2:北海道大学電子科学研究所名誉教授

糖尿病(DM)/維持透析(HD)の急増で重症虚血肢(CLI)の広範足壊疽に対する救肢(LS)手術が増加している。虚血性DM足壊疽は感染と虚血の相乗効果により急速に進行して容易に広範壊疽から大切断となる急性疾患である。これに対するLSの血行再建では即効性、確実性、長期耐久性などからバイパスが第一選択の治療であるが、標的動脈は足関節以下のより末梢動脈に向い、さらに高度病変進行で標的動脈がない例では,血行再建最終手段としてDistal venous arterialization (DVA),即ち中枢動脈から足部静脈へバイパスし逆行性に動脈送血する手術が適用される。また従来切断となった広範組織欠損では遊離筋皮弁移植(FF)併用によりLSが達成される。方法:最近5年間のCLIに対するLS外科治療223例の内訳は足趾壊疽90%,DM90%, HD 65%、足背または足底動脈バイパス90%で、重症足壊疽に対しFF20例, DVA± FF が14例に適用された。 DVAバイパス 静脈グラフトの使用が必須で、DVAバイパス中枢吻合は膝下膝窩動脈、末梢は総足底静脈へ吻合する。バイパス動脈血を細小静脈まで送るため吻合部から足部中央までの静脈弁は機械的に破壊するが、末梢細小静脈弁は動脈圧により自発的に弁不全が達成される。理論上、DVAにおける動脈血到達レベルは細小静脈径30μmまでで十分に組織が栄養される。 遊離筋皮弁移植(FF) 足部広範組織欠損の中で体重加重域欠損や足根骨露出例のLSでは必須の手技である。足機能の特殊性から皮弁は薄く、解離を発生しない解剖学的特性が必要で、肩甲皮弁が最適である。FFは通常、バイパス後2期的に行われ、FFの動脈はバイパスグラフトに吻合され,静脈は足関節位静脈と吻合される。広範欠損部への新たな組織補填は足を最大限温存すると共に有効血管床を増加させる。結果:223例の5年1次および2次バイパス開存率,LS率、無切断生存率は各々64%,82%, 94%, 44%であった。DVAおよびFFはLS率を8% 改善させた。結論:FFやDVAはLSに大きく貢献し、従来大切断必須例が義足なしに社会復帰できる。一方DM/HDではLS後車いす生活によりその意義が失われ、さらに早期死亡例が少なくない。今後、無切断生存率向上とLS後自力歩行に向けた治療体制の確立が課題である。
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