演題

特別ビデオセッション—メスの限界に挑戦した手術—
SV-9

Pericardial conduitを用いた肺動脈形成を用いて全摘を回避した左肺癌

[演者] 鈴木 健司:1
[著者] 松永 健志:1, 高持 一矢:1, 王 志明:1
1:順天堂大学呼吸器外科

最近の本邦における統計によれば気管支形成術は肺癌手術の1.3%となった。気管支肺動脈形成術となればその10分の1程度で有り、肺動脈形成術に心膜を用いたconduitを用いる方法となればさらにその数十分の一程度であるから年間日本でも数例、全肺癌手術の0.1%程度と推定される。症例は69歳男性。左肺上葉肺門部に腫瘤を認め広範囲に肺動脈に浸潤する所見であった。腫瘍の肺動脈浸潤は主肺動脈の分岐から5mmの領域まで中枢進展し、前医では左肺全摘も施行不能とされた。左肺上葉は完全無気肺となり正確な腫瘍径は不明。術前に高カルシウム血症をみとめ、高度の食欲不振をみとめたが、PETで遠隔転移の所見なし。CEA 33.5 ng/ml、シフラ23.3 ng/mlと上昇。1秒量は2160mlであり全摘も機能上は可能と判断した。臨床病期T3N1M0。手術は後側方開胸で開始。縦隔リンパ節郭清を先行し切除不能因子を除外。腫瘍は肺門部に位置し左肺上葉は無気肺と共存する閉塞性肺炎の影響で全く虚脱せず。腹側の心膜を切開して心嚢内のMarshall’s foldを剥離して左肺動脈中枢が確保できることを確認した。葉間から肺動脈を剥離し、下葉を残せることも確認してdouble sleeveの方針とした。上肺静脈を心嚢内で処理。PA elongationを行って肺動脈の中枢を確保。下肺動脈を末梢で確保した後に肺動脈中枢と末梢を切離した。腫瘍は気道内にポリープ状に進展しており気管支形成とした。気管支は4-0 non-absorbable monofilament stringsで縦隔側を4針連続縫合し、以後結節縫合した。その後肺動脈の形成に移行したが直接の端々吻合では過度の緊張がかかると判断し、32 Fr trocarを用いてpericardial conduitを作成、6-0 non-absorbable monofilament stringsで連続縫合とした。術後経過順調。Pericardial conduitを用いてdouble sleeveを施行、肺全摘を回避した症例を提示する。
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