演題

特別ビデオセッション—メスの限界に挑戦した手術—
SV-5

深部門脈腫瘍栓合併肝癌に対する肝切除

[演者] 具 英成:1
1:神戸大学肝胆膵外科

門脈腫瘍栓(PVTT)合併肝癌はどこまで外科的に治療可能なのか?腫瘍と同側1次分枝までのPVTT (Vp3)の合併は通常の肝葉切除が可能で手術難易度は高くない。しかし門脈本幹や対側の門脈まで進展したPVTT(Vp4)は腫瘍の進展も高度で、肝切除に加えてPVTT摘出や門脈の合併切除が必要となり、難易度は格段に高くなる。しかるに対側1次分枝以深に進展すると手術適応としない施設が多い。実際、第19回の追跡調査でVp4と診断された患者の約9%のみが肝切除を受けている。PVTT合併肝癌の治療が厄介な点は、PVTTは急速に成長し対側門脈に進展すると、門脈循環障害により肝機能低下を来し、以後の積極的な治療が困難になることである。自験例の検討ではVp3は約10日でVp4に進展する。この点で肝切除は、短期間に物理的にPVTTを除去することが可能で確実に門脈循環障害を改善する手段となる。また時間的治療域の確保の観点からも、放射線や動注化学療法を含めて他療法を凌駕する。しかし、一般的なPVTT摘出法であるPeeling off法では対側2次分枝以深のPVTT摘出は困難である。カテーテル法は深部PVTTにも適応可能だが、多くの場合絵に描いた餅である。PVTTに対する門脈合併切除はそもそも対側2次分枝以深では不可能である。我々は簡便かつ肝機能低下を引き起こさない方法として、PVTTの形態をFloatingとExpansiveの2 型に分け、血行動態に基づいた摘出法としてBack Flow Thrombectomy(BFT)に行き着いた。BFTでは肝静脈からの逆流圧を末梢門脈に維持することで、Floating型であれば対側3次分枝までのPVTTが安全に摘出できる。本講演では、深部PVTT合併肝癌はBFT法でどこまで、どのように切除可能か、または困難かをビデオで供覧したい。また、石橋を叩きながら蓄積した我々の治験を通じて、PVTT合併肝癌の術前評価、手術で留意すべき点、顕性および潜在的な播種性病変に対する独自の対策ならびに治療戦略についても付言したい。
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