演題

DB-16-2

早期再手術

[演者] 松隈 治久:1
[著者] 鈴木 晴子:1, 中原 理恵:1
1:栃木県立がんセンター呼吸器外科

肺切除後の肺瘻の遷延は比較的良く遭遇する合併症の一つである。肺切除後の肺瘻遷延(7日<)の発生頻度は1%~10%とされる。肺瘻遷延に関わる治療者側の因子としては、①肺瘻を予防する術中の手技、②術後管理方法、そして③肺瘻遷延時の対応が挙げられよう。ここでは肺瘻遷延時の対応に焦点をあてて当センターでの考えを紹介する。肺瘻遷延時には、通常1週間までは水封にて待つことが多い。1週間を過ぎたときにa)自然閉鎖を待つ、b)癒着療法、c)手術的閉鎖、のいずれかを選択することになる。各々のメリット/デメリットを考えてみると、保存的治療のメリットは手術と比較して侵襲が少なく、痛みが少ない。一方のデメリットとして考えられるのは、自然閉鎖を待つ場合、いったいいつまで待てば良いのかという患者のストレスが問題となり、また長引けば感染の危険性が出てくる。癒着剤を使用する場合、癒着剤による合併症の危険性、および癒着すること自体のデメリットとして、肺機能の低下や、将来第2肺癌ができた場合に問題になる可能性がある。一方手術的閉鎖のメリットして、肺瘻閉鎖までが短いと言うことが挙げられ、デメリットとしてはコストが高いことおよび患者の精神的肉体的負担が挙げられる。しかし、開胸手術後の再開胸と比較して、VATS手術後にVATSによる肺瘻閉鎖を行う場合、精神的肉体的負担はそれほど大きくはないのではと考えている。そして、これらの選択は予想される肺瘻の場所によっても異なってくると考える。肺瘻部が胸壁に接している場合や肺瘻部が背側にある場合と比較し、上葉切除のように肺瘻が空間に向かって起こっていると予想される場合、癒着剤にも十分に暴露されにくいと考えられ、保存的治療では止まりにくいことが予想される。電子カルテになった2008年4月以降の症例で、区域/肺葉切除を行った症例は440例あり、うち7日を超えた肺瘻遷延を24例(5.5%)に認めた。1例長期ドレナージのみの症例で膿胸から間質性肺炎急性増悪を来たし失い、他の1例では癒着療法で粘った後に再手術を行い、最終的に間質性肺炎増悪にて失った経験があり、その後は比較的早期にVATS肺瘻閉鎖を行うことが増えてきており、最近の3年間では肺瘻遷延9例中6例でVATSによる再手術を行っている。その方法は肺瘻の縫合閉鎖および縫合ラインの遊離傍心膜脂肪による被覆である。
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