演題

DB-16-1

保存的治療

[演者] 横見瀬 裕保:1
1:香川大学呼吸器・乳腺内分泌外科

我々は以前から遷延する肺葉切除後の肺瘻に対し、自己血とOK-432 による胸膜癒着術を行い、良好な成績を報告してきた(Autoblood plus OK-432 pleurodesis with open drainage for persistent air leak after lobectomy. H. Yokomise et al. Ann Thorac Surg 1988;65:563-5)。肺瘻が継続した場合、吸引圧の低圧設定、water sealで対応するが、5日以上の肺瘻に対しては自己血による胸膜癒着樹を行なっている。この方法は従来難治であった死腔を合併する症例にも有効であった。この方法で多くの肺瘻は治癒するが、肺瘻の持続、膿胸の合併など、より重篤になる場合も有る。そこで、第67回日本胸部外科学会において、肺葉切除後に再手術を要した肺瘻について検討した。また胸膜癒着術の成功率についても検討した。【対象と方法】当院で原発性肺癌に対し肺葉切除(中葉切除は除く)を施行した519例(2005.1-2013.6)。上葉切除と下葉切除の二群にわけ、再手術を要した難治性肺瘻の発生頻度につき検討。また5日以上の肺瘻に対する胸膜癒着術の成功率についても検討。【結果】男性332例、女性187例、年齢中央値は68(26~90)歳。519例中41例に導入化学放射線療法が施行された。上葉切除群が302例(右上葉切除187例,左上葉切除115例)、下葉切除群が217例(右下葉切除136例、左下葉切除81例)。再手術を要した難治性肺瘻は519例中5例に認め、全例が下葉切除後(右下葉切除4例,左下葉切除1例)であった。5例中2例が導入化学放射線療法後であった。上葉切除群と下葉切除群でこれらの重篤な難治性肺瘻の発生を比較したところ、有意差をもって下葉切除群に多かった(p=0.0124)。また再手術を要した5例の肺瘻部位は全例葉間面であった.導入化学放射線療法は有意に肺瘻を合併した(p=0.0482)。5日以上肺瘻が継続し、自己血(OK432あるいはミノマイシン)で胸膜癒着術を行なった44例中39例(89%)で肺瘻停止。失敗例は12日以上肺瘻が継続した。【考察】胸膜癒着術で制御不能な遷延性肺瘻は下葉切除、導入化学放射線療法後の肺葉切除に限られていた。肺葉切除後の多くの肺瘻は胸膜癒着術などの保存的治療で治癒する。周術期に2回目の全身麻酔手術を行なう事はできるだけ避けなければならない。葉間面が死腔に接し易い下葉切除、組織の脆弱性が予想される導入化学放射線療法症例で、保存的治療に10日以上抵抗する場合、再手術を考慮すべきである。
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