演題

省略

[演者] 武井 寛幸:1
[著者] 柳原 恵子:1, 栗田 智子:1, 岩本 美樹:1, 関 奈紀:2, 保科 淑子:3, 二宮 淳:1, 浅川 英輝:1, 横山 正:2, 山下 浩二:1, 飯田 信也:4
1:日本医科大学乳腺科, 2:日本医科大学多摩永山病院外科, 3:日本医科大学武蔵小杉病院外科, 4:日本医科大学千葉北総病院外科

局所治療の拡大と縮小の局所再発率および乳癌死亡率への影響を検討したランダム化比較試験のメタ解析結果の一部をまとめると次のようになる.①両群に放射線治療が施行された場合,手術の拡大と縮小の差は認められなかった.②縮小手術に放射線治療が併用されれば,拡大手術に比べ差は認められなかった.このメタ解析はセンチネルリンパ節生検(SLNB)以前の臨床試験を対象としており,リンパ節転移陽性症例も多く含まれていた.SLNBの時代に入り計画された腋窩治療におけるランダム化比較試験のうち,SLN転移陽性症例で腋窩郭清の有無を比較したACOSOG Z0011試験は,臨床的腋窩リンパ節転移陰性,T1-2,SLN転移1-2個陽性,乳房温存術,乳房への放射線治療という規定を満たす症例を対象とし,腋窩郭清の有無で腋窩再発率,全生存率に有意差を認めなかった.前述のメタ解析結果からもこのACOSOG Z0011試験の結果には放射線治療が大きく影響していると考えられた.試験計画書では乳房への放射線治療とあるが,実際の照射範囲に腋窩が含まれるか否かという点が重要である.このような観点から放射線治療に関する調査が行われ,両群ともかなりの症例で照射範囲に腋窩が含まれ,さらに一部の症例で鎖骨上領域も含まれるというものであった.IBCSG 23-01試験はSLNの微小転移症例を対象とし,乳房切除術症例や放射線非治療症例も含み,腋窩郭清の有無で腋窩再発率,全生存率に有意差を認めなかった.さらに,腋窩非郭清症例のコホート研究のメタ解析では,SLN転移陰性と微小転移の腋窩再発率はともに0.5%未満と低い結果であった(観察期間中央値は前者が34月,後者が42月).ACOSOG Z0011試験では腋窩非郭清群のおよそ50%は微小転移であったことも,腋窩再発率が低い理由の一つと考えられた.AMAROS試験は,SLN転移陽性症例に対して腋窩郭清と腋窩照射のランダム化比較試験であり,腋窩再発率,全生存率に両群で有意差はなく,腋窩照射群では腋窩郭清群に比べ上肢浮腫の頻度が有意に少なかった.これらの結果から, ACOSOG Z0011試験適格例において,全乳房に加えリスクに応じて腋窩への放射線治療(接線または別フィールド)を施行することで,腋窩郭清の省略が可能であり,その結果,上肢浮腫の合併症のリスクを低下させることができると考えられた.
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