演題

DB-5-2

Non-stapler

[演者] 杉浦 禎一:1
[著者] 岡村 行泰:1, 伊藤 貴明:1, 山本 有佑:1, 上坂 克彦:1
1:静岡県立静岡がんセンター肝胆膵外科

はじめに近年、腹腔鏡下手術の発展、手術機器の改善により、膵体尾部切除術における膵断端処理をstapleで行う機会が増えている。しかし、従来の膵切離法(non-stapler法)に比しその有意性は未だ明らかでない。今回、膵体尾部切除時の膵断端処理に関するエビデンスを交えて我々の意見を述べる。 エビデンスエビデンスレベルの高い報告としては、1つのランダム化試験と2つのmeta-analysisがある。ドイツで行われた多施設によるランダム化比較試験であるDISPACT studyではprimary endpoint(術後7日目までの膵液瘻と死亡率)はstapler群:32%、non-stapler群:28%(OR:0.84、p=0.56)と有意差を認めなかった。Secondary endpointとしての術後30日以内の膵液瘻もstapler群:36%、non-stapler群:37%(OR:1.04、p=0.84)と差を認めなかった。2編のmeta-analysisでもstapler法のnon-stapler法に対する優位性を見いだすには至らなかった。また、興味ある報告として、Kawaiらは厚さ12mm以上の場合での膵切離において膵液瘻発生のリスクファクターとして、男性、BMI >25 kg/m2と共にstapler法での膵断端処理を挙げている。その理由としては、staplerで膵実質は圧挫したときに容易に裂けてしまうこと、膵実質が厚いために膵断端の閉鎖が不十分であることと推察している。メリット・デメリット また、膵切離法別の合併症発生率の他に、手術手技そのもののメリット・デメリットを論じる必要がある。non-stapler法のメリットとしては、何と言っても余分なコストが係らないことであろう。結果が同等であればできるだけ手術費を安価に抑えることは必要であろう。もう一つの、メリットは膵断端の正確な病理診断が可能であることである。一方、staple法では膵内分泌腫瘍、SPTなどの膨張性腫瘍では大きな問題とならないが、IPMNや浸潤性膵管癌の場合では真の膵断端がStaplerにより圧挫され正確な診断が困難となる。デメリットとしては腹腔鏡下手術時にはnon-stapler法では行えないこと、手技そのものに術者間で差があることであろう。結語ランダム化試験、meta-analysisでは膵体尾部切除時におけるstaple法による膵断端処理に優位性は認められなかった。腹腔鏡下膵体尾部切除が普及した今日では膵切離をstaple法で行うことは避けて通れないことは事実である。しかし、膵液瘻の発生にはstaple法に優位性がないことは念頭に置くべきである。
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