演題

開腹手術

[演者] 瀧井 康公:1
[著者] 丸山 聡:1, 野上 仁:1, 會澤 雅樹:1, 松木 淳:1, 野村 達也:1, 中川 悟:1, 藪崎 裕:1, 土屋 嘉昭:1, 梨本 篤:1
1:新潟県立がんセンター新潟病院外科

まず、結腸癌全体でのエビデンスの確認を行いたい。欧米での開腹手術と腹腔鏡下手術のRCTは、Barcelona、COST、COLOR、CLASICC の各trial があり、それぞれ多くの症例での比較試験が行われている。そこで確認されたことは、入院期間、鎮痛剤使用期間、術中合併症、傷の整容性では腹腔鏡下手術が良好で、術後早期合併症は同等、コストは開腹手術が良好、癌の根治性は同等とされている。日本で行われたJCOG0404は短期の成績は公表されているが、長期成績は近々公表される予定である。短期成績の結果は、上記の各RCTとほぼ同等の結果であった。これら欧米のエビデンスをすべて日本の臨床に外挿して良いかは疑問である。その問題点とは、欧米でのRCTにおいてのリンパ節郭清の程度が異なることで、その多くが、D0/D1で、D2は25%程度と日本での標準であるD3手術がほとんど含まれていないこと。Stage I, II, III が均等に含まれているにもかかわらず、3年DFSあるいは5年OSが70%代と日本の成績より10%程度不良な症例群での比較であることから、癌の根治性が保たれるかどうかが最も重要なポイントであり、これにはD3(CME)が行われている日本のJCOG0404の結果の確認が必要と考えられる。癌の根治性を損なう可能性として、腹腔鏡下手術では支配動脈部位を把持して血管の根部の郭清を行う事が多いため、2群のリンパ節転移が存在する場合は、癌細胞の揉みだしを行う可能性が否定できず、大きな腫瘍の場合鉗子の中程で腫瘍を圧迫したり、視野の展開時に腫瘍を圧迫する可能性が高い事から、腫瘍細胞の散布による再発率の増加の懸念がぬぐいきれない。横行結腸癌に限定したポイントでは、大規模比較試験ではすべて対象症例から除かれており、腹腔鏡下手術の安全性が確認されていない部位である事。解剖学的な困難性がある事。症例の絶対数が少なく、症例数の少ない施設では経験数が少なくなり、解剖、術式の理解が進まないこと。等が挙げられ、trial でのデータから症例数の少ない施設での、腹腔鏡下手術の時間が開腹手術に比して長くなることや、Conversion例の予後が不良であることも考慮すると、症例が少なく修練出来ない施設では開腹手術が有用と考えられる。これらのポイントに付きディベートを行いたい。
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