演題

特別ビデオセッション—メスの限界に挑戦した手術—

直腸癌局所再発に対する手術

[演者] 関本 貢嗣:1
[著者] 池田 正孝:1, 三宅 正和:1, 原口 直紹:1, 宮崎 道彦:1, 中森 正二:1, 平尾 素宏:1, 宮本 敦史:1, 西川 和宏:1, 濱 直樹:1, 山本 和義:1, 前田 栄:1
1:国立病院大阪医療センター外科

直腸癌局所再発の多くは骨盤内単独再発であり、根治的切除により優れた長期成績を得られる。しかし、手術の難度が高く侵襲が大きいことが課題となっている。私たちは2000年以降改良を加えながら症例を積み重ねてきた。その手技と成績を報告する。局所再発手術の技術的困難さは以下のような点にある。1.癒着と線維化が術中のオリエンテーションや操作を妨げる。2.骨盤内は静脈圧が高いため静脈損傷した場合に強い出血となる。3.腫瘍が仙骨や骨盤壁に接触・浸潤していてこれらの合併切除が必要な症例が多い。4.骨盤深部での操作は時に視野確保に難渋する。これらへの対策として、現在では以下のような戦略を取っている。術前の画像検査を詳細に調べ、腫瘍の位置や脈管・神経の走行を術中に正しく把握するための指標を確認しておく。超音波凝固切開装置など強力な止血器具を積極的に採用する。深部の操作には、深部照射器や腹腔鏡を用いて常に良好な視野を保つ。骨盤内は瘢痕化などで手術操作が困難な場合は腹臥位として背側から剥離を行う。また、高率に発生する感染性合併症を減らすために、仙骨切除のために機能が廃絶するような場合も、膀胱や肛門をできるだけ温存し組織欠損や死腔を減らすようにしている。そして骨盤死腔は大網や腹直筋皮弁などを用いて必ず充填する。これまで100例を超える局所再発手術を行ってきた。根治を目指した98症例の成績は手術時間761分、出血5924ml、R0切除率85.7%、5年生存率47%、5年無再発生存率28%であった。短期成績については、一般診療としては過大侵襲と言わざるを得ないが、長期成績はほぼ妥当な結果と考えている。また短期成績には確実な習熟効果が認められている。骨盤内臓全摘術10例、仙骨切除9例、坐骨切除2例など多臓器合併切除19例を含む最近2年間の31例では、手術時間555分、出血量2339mlと、手術時間も出血量も大幅に向上した。今後より優れた診断技術や手術器具が開発され手術手技が確立して行けば、短期成績はさらに向上し、局所再発手術は安全で確実な治療手段となると考える。
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