演題

肝胆膵術後合併症と対策−膵液瘻、胆汁瘻

[演者] 平野 聡:1
1:北海道大学消化器外科Ⅱ

肝胆膵手術は後の膵液瘻・胆汁瘻は入院期間の長期化や手術関連死亡の原因となり得る代表的な合併症であり、その予防と発症時の対応は手術成績に直結する。本セミナーでは両合併症に対する基本的な予防対策と発症後の管理法に関してエッセンスを述べる。膵液瘻は定型的膵切除術で一定の確率で発症するが、膵周囲のリンパ節郭清後にも出現することがある。2005年にInternational study group of postoperative pancreatic fistula(ISGPF)によりドレーン排液中の」アミラーゼ値による膵液瘻の定義が示され、さらに臨床症状によって膵液をGrade A- Cの三つのカテゴリーに分類したことによって、ようやく施設間や異なる術式間での比較検討が可能となった。しかし、膵液瘻の危険因子として膵機能を含めた患者因子、膵切離法・吻合法・ドレナージ法を含めた手術因子など、多くの関連因子が存在するため、未だに最適な予防法を見いだすには至っていない。最近の本邦のアンケート調査でも膵頭十二指腸切除、尾側膵切除とも、約25%のGrade B/C膵液瘻が発症している。これらを低減するためには、上記の様々な発症に関与する因子の中で介入可能な手術因子をいかにコントロールできるかが重要である。また、発症例に対して重篤化を防ぐためにはドレナージを基本とした適切な対処が必要であり、これらに十分習熟している必要がある胆汁瘻は胆道再建を伴う肝切除後の合併症として10%前後の頻度と報告されており、肝切離面からの胆汁漏出、胆管空腸吻合部縫合不全や胆管空腸吻合時の未吻合胆管の存在などが原因となる。膵液瘻同様、2011年にInternational Study Group of Liver Surgeryによりドレーン排液中のビリルビン値による膵液瘻の定義が示され、一定の比較検討が可能となった。胆汁漏出が確認されたら、胆道再建が無い症例では内視鏡的胆道ドレナージが有用であるが、胆道再建を行った症例では十分に有効な外ドレナージが基本であり、良好な瘻孔が形成されれば保存的に治癒可能である。ただし、遠隔期に吻合部狭窄を来し、手術治療を要することがあり、長期の丁寧な観察が必要である。最も難治例は肝切除断端面における胆管断端の開放があるが、経瘻孔的胆管ablationなどIVRの手技を駆使して粘り強く治療する必要がある。
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