演題

消化管術後合併症と対策−腸閉塞、縫合不全−

[演者] 永井 英司:1
[著者] 植木 隆:1, 田中 雅夫:1
1:九州大学臨床・腫瘍外科

消化管悪性腫瘍手術においては過不足のない切除と安全確実な再建が求められる。ひとたび再建にトラブルが発生すると術後入院期間は延長し、患者QOLを低下させるのみならず生命の危険に曝す可能性すらある。これらの合併症を極力起こさない努力はもちろんのこと不幸にして発生した場合には迅速に的確な対応をとることが肝要である。【腸閉塞】腸閉塞は何らかの原因により腸管内容の肛門側への通過が妨げられた状態であり、機械的イレウスと機能的イレウスに大別でき、機械的イレウスは単純性と複雑性に分類される。機械的イレウスでは閉塞部位の口側に腸液、ガスが貯留し、腸管は拡張し内圧は上昇する。腸管壁の静脈還流が阻害され腸管内への水分とNaの貯留が起こり、脱水となる。また絞扼性イレウスでは早期に腸管の虚血から壊死が進行する。自覚症状として嘔気、嘔吐に加えて排便、排ガスの欠如、他覚症状では特徴的な腸雑音に加えて腹部の圧痛が診断のポイントである。絞扼性イレウスでは腹膜刺激症状が出現する。検査所見では白血球の増多に加えて脱水所見、代謝性アルカローシスが認められる。治療は閉塞機転により異なるが、単純性イレウスではまずは口側腸管内の減圧を図り、その間に閉塞の要因を検索する。癒着屈曲による場合には保存的に治癒が可能な場合も多い。一方絞扼性イレウスの場合には迅速な手術治療が必要である。【縫合不全】縫合不全とは消化管の縫合部の癒合が不充分で腸管内容が体腔内に流出することである。放置すれば感染を来たし、炎症は局所から全身に波及し最終的には多臓器不全に陥るため早期にコントロールしなければならない。縫合不全の要因には患者側因子として栄養状態(貧血、低タンパク、低アルブミンなど)、併存疾患(腎不全、糖尿病、ステロイド治療など)、抗がん剤の使用などがあり、術中因子としては吻合部の血行不良、異常な緊張、手術手技不良などが挙げられる。早期診断のためには発熱、疼痛といった理学的所見に加え白血球の増多、CRPの上昇などの検査所見と適切な部位に挿入されたドレーンの排液の性状が有用である。感染が限定的でドレナージが充分であれば、抗菌剤を投与し、消化管の安静を保つ。一方で感染が広範囲に及んだりドレナージ不良の際には手術的治療を選択しなければならず、その判断は迅速でなければならない。本セミナーでは具体的症例を挙げ、周術期管理について述べる。
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