演題

術後呼吸器合併症と対策−心機能低下の把握、循環血漿量・水分出納−

[演者] 森松 博史:1
1:岡山大学

近年術後呼吸器合併症が注目されている。2013年、2014年にはNew Engl J MedやLancetに術中呼吸管理によって術後の呼吸器合併症を減少させるための研究が発表されている。しかしながらこれらの研究における術後呼吸器合併症の発生率は20%ー40%と非常に高いと言わざるを得ない。これに付随してAnesthesiology誌では術中呼吸管理と術後呼吸器合併症に関する論文を広く募集している。我々周術期管理に携わるものはこの術後呼吸器合併症を減少させる努力をしていく必要がある。一方で近年術中の輸液管理に関する考え方も変化してきている。20年前には輸液に害はなく術中の循環を安定させるためにはとにかく輸液を多めに入れておけば良いという考え方が一般的であった。これに対して2000年前後からGoal Directed Fluid Therapyという概念が生まれ、Goalを決めて輸液管理を行うことの重要性が叫ばれてきている。ここで言うGoalとは一般的には新しいデバイス、マーカーを使っていることが多い。術中の輸液・循環管理を行うために我々は昔から様々なデバイス・マーカーを用いてきた。1980年代には肺動脈カテーテルを用いた循環管理が当たり前であり、酸素供給量をSupra-noramlにすることにより、ハイリスク患者の予後が改善するとまでされていた。しかしながらその後肺動脈カテーテルは患者予後を改善せず、合併症を増やすという報告が相次ぎ、現在ではその使用は限られてきている。新しい輸液・循環の指標としてPulse contour analysisを用いた心拍出量測定が一般的となってきている。この方法は動脈カテーテルからの波形を解析し、一回拍出量(Stroke Volume: SV)やCardiac output (CO)を計算し、その値を元に輸液・循環管理を行うという方法である。SVやその変動であるStroke Volume Variation (SVV)をGoalとして輸液管理行っていく試みが多くの施設で行われてきている。従来の血圧、心拍数、中心静脈圧を用いた輸液循環管理と比較して、SVやSVVを指標とした輸液管理は術中輸液量を減らし、術後の呼吸器合併症を減少させることに貢献できるかも知れない。
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