演題

術後創感染と対策

[演者] 福岡 敏雄:1
1:倉敷中央病院救命救急センター

術後創感染は最も頻度の高い感染術後合併症である。【アセスメント】病棟主治医としてのアセスメントのポイントとして、1)リスク評価、2)局所評価、3)全身評価の3つがあげられる。リスク評価は、a) 患者背景、b) 手術環境、c) 術式・術後経過、の要因からリスクを見積もる。その上で局所評価と全身評価から診断につなげる。手術が深部臓器へのアプローチを伴う場合、表皮から到達臓器まで、一連の「創部」にそれぞれ感染のリスクがある。創感染はその深さによって所見・経過は異なる。表皮に近ければ、体表からの観察は容易で局所所見が重要となる。しかし、筋層や筋膜あるいは深部臓器や体腔内が創感染の首座である場合は体表面の観察のみでは不十分であり、触診による圧痛の確認や留置ドレーン、レントゲン写真やエコー、CTなどの画像検査、血液検査などが重要になる。より深部での感染の方が全身性感染症(敗血症など)に移行するリスクが高く、カテーテル感染症などの遠隔感染との紛らわしくなる。【治療戦略】治療の基本は、1)感染巣の管理、2)適切な抗菌薬の投与、3)支持療法の3つである。創感染を疑った場合には、開創・ドレナージ・デブリドマンなどの局所処置を行う。壊死組織や不良肉芽などは積極的に除去することが勧められている。一方で肉芽形成を促進するための創部管理の工夫もいくつか提案されている。抗菌薬の投与が必要であると判断されれば、原因菌同定のための培養検査を行った上で想定菌をカバーする抗菌薬を開始する。原因菌が同定されれば抗菌薬をより狭いスペクトラムのものへの変更を考慮する。全身管理や栄養管理などの支持療法は継続的に行い、感染に伴う代謝の変化を考慮し適宜適正化する。【予防について】術後創感染の予防については、予防的抗菌薬投与が広く行われている。また、低体温、低酸素、高血糖を避ける、といった周術期の全身管理が推奨する場合もある。しかし、これらを含んだ「手術部位感染バンドル」の導入を評価したランダム化比較試験で、感染が2倍になったという結果が示されている(Anthony T et al: Arch Surg 2011; 146:263)。【サーベイランスについて】国内では手術部位感染としてサーベイランスが継続的に行なわれており、手術部位感染のリスク評価の基本情報として活用できる体制が整備されている。現場での基本情報としてこのようなデータを活用することができる。
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