演題

小児に対する術後の輸液管理と栄養管理

[演者] 靍 知光:1
1:聖マリア病院小児外科

【はじめに】小児の輸液や栄養管理というと,とても複雑で,かなり特殊な事をやっているように思われ,成人に慣れた外科医や救急医から敬遠されがちであるが,基本的な内容は成人の管理と何ら変わることはない.新生児から中学生までの体格に応じ必要水分量・カロリーを理解しておけば,難しい事は何も無い.また近年,周術期の回復強化プログラム(ERAS: Enhanced recovery after surgery Protocol)という考え方が導入され,成人領域で様々な試みが行われるのに応じて,小児の周術期管理にも徐々に変化が認められるようになってきた.本項では,術後に限らず,小児の周術期輸液・栄養管理の特徴と注意点を述べる.【輸液】最も大きく変化したのは,術前の輸液管理と術中・術後輸液の内容であろう.①術前絶飲食管理に関しては,日本麻酔科学会から2012年に本邦初のガイドラインが示され,基本的に搬入2時間前まではclear waterを飲ませることが可能となった.それに伴い,術前経口補水療法という考え方が谷口らによって提唱され,術前は十分な水分を経口的に摂取して脱水を予防する管理が徐々に浸透しつつある.ERASの考え方にもつながるこの管理法は小児においても有用で,多くの利点がある.今回,我々の実際の管理法を示しながら,その効果を述べる.②一方の大きな変化は術中や術後に1号液という低張液を投与することがなくなったことである.小児の輸液管理は不思議とこの1号液という低張液が,細胞外液補充液と同等の感覚であらゆる場面に使われてきた歴史があり,術中・術後も長年投与されてきた.現在でも多くの小児科医は同じ用途で使用している.しかし「小児には何故1号液なのか?」,この疑問に対するevidenceは皆無と言っても過言ではなく,そもそも1号,2号などの分類も我が国でしか通用しない.小児は脱水になりやすく,低血糖にも弱い.このことは間違いのない事実であるが,やや歪曲された考え方が小児の術後低ナトリウム血症(特に長時間手術)を招くようなったと言えよう.以上,小児の周術期輸液管理の変遷に関して詳細に解説する.【栄養管理】術後栄養管理も基本的には成人と何ら変わらず,静脈栄養から早く離脱する早期経口開始が目標である.今回は,外科代謝栄養学会が推進するESSENSEの考え方なども含めて, ERASが求める早期の経腸・経口栄養を中心に小児の栄養管理の実際を解説する.
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