演題

第2部 「日本外科学会臨床研究助成」および「若手外科医のための臨床研究助成」授賞式: 消化器外科領域における周術期肺血栓塞栓症のリスクモデルの構築と薬物的予防法の有用性に関する多施設共同前向きランダム化比較試験

[演者] 土岐 祐一郎:1
[著者] 畑 泰司:1, 池田 正孝:2, 左近 賢人:3
1:大阪大学消化器外科, 2:国立病院大阪医療センター外科, 3:大阪府立成人病センター外科

本邦における静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism: VTE)予防は、2004年のガイドライン発刊を契機に全国的に認知され、発症頻度の減少に寄与している。しかし、2008年以降薬物による予防法でフォンダパリヌクスや低分子ヘパリンが使用可能となるなど予防法も変化しており、現状に即した発症頻度を把握しておく必要がある。また、本邦のガイドラインでは予防の普及を前提に作成されており、内容は簡素なものとなっている。しかしながら多岐に渡るリスク因子があるVTEにおいては、個々の症例に適格な予防、特に薬物的予防を推奨するにはリスクとベネフィットの観点から的確な適応基準が必要と考えられる。最近の欧米においては、リスク評価を個々の症例に合わせたものとするためにスコアリングを用いた評価が導入されている。2013年2月に改訂されたACCPの第9版においてもCapriniらが提唱したスコアリングが記載されている。 しかしながら、人種による遺伝的背景や環境因子が異なるため、欧米のデータやガイドラインをそのまま外挿するのは危険である。この様なことから本邦における現時点でのVTEの発症頻度を把握しリスク因子を同定することは、外科疾患の周術期予防策を考える上で極めて重要と考える。正確な数値や因子を把握するためには詳細な検討が必要であるが、発症頻度が少ない症候性VTEの発症頻度やリスク因子を調査するには膨大な症例数を必要とする。そこで本研究では、はじめに我が国での外科分野における最大のデータベースであるNational clinical database(NCD)を用いて本邦の外科領域における周術期静脈血栓塞栓症(VTE)発症頻度についての疫学的調査を行う。次に欧米のデータと比較する上でもCapriniのスコアリングに記載されているリスク因子を中心に調査し、リスク因子を同定しスコアリング化を行う。最終的にはスコアリングの確からしさを前向きに評価し、本邦のVTE予防におけるスコアリングシステムを構築する。
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