演題

第2部 「日本外科学会臨床研究助成」および「若手外科医のための臨床研究助成」授賞式: 小児心不全に対する心臓内自己幹細胞移植療法による右室リモデリング退縮効果の解明

[演者] 石神 修大:1
[著者] 後藤 拓弥:1, 奥山 倫弘:1, 逢坂 大樹:1, 新井 禎彦:1, 笠原 真悟:1, 佐野 俊二:1, 王 英正:2
1:岡山大学心臓血管外科, 2:岡山大学 新医療研究開発センター 再生医療部

【研究背景】虚血性心疾患や心筋症では、心臓MRIの遅延造影(LGE: Late Gadolinium enhancement)による心筋繊維化(LGE+)の評価が一般的になりつつある。一方、左心低形成症候群をはじめとする小児における単心室疾患でも心臓MRIによるLGE+が報告されている。LGE(+)症例の臨床的特徴は、心機能の低下のみならず、不整脈や突然死の危険性が高く予後不良因子である。近年、心臓内幹細胞移植治療による繊維化領域の減少が報告はあるが、その成因は未だ解明されておらず有効な治療法は報告されていない。【研究目的】実験動物(ラット)を用いた肺動脈絞扼術による心筋繊維化モデルを作成することで、単心室症患者における心筋リモデリング機序の解明と考えている。更に繊維化心筋に対する心臓内幹細胞移植治療の効果の機序解明のために、予め細胞標識を施した心臓内幹細胞を用いて移植治療を行う。MR細胞追跡技法を用いることで、移植細胞の心臓内、特に繊維化領域での可視化評価を行い、心臓内幹細胞治療による心筋リモデリング退縮効果の機序の解明を目的としている。【研究方法】ラットを用い、肺動脈絞扼術を施行して心筋リモデリング化モデルを作成する。右室不全に伴う心機能低下を心臓MRI、超音波心臓検査を行う。また、心臓内幹細胞移植治療による心室リモデリング退縮効果は、細胞に標識を付けたものを移植し、MR追跡技法を用いて可視化評価を行い、移植細胞による効果を解析する。幹細胞移植治療の心機能効果判定は心臓MRI、超音波心臓検査での心駆出率、心室容量の計測を解析して機能改善を評価する。【研究の特色】岡山大学病院では小児心不全に対する自己心臓内幹細胞移植治療の臨床研究を行っている。現在我々が行っている第2相試験(PERSEUS trial)の遅延造影MRI検査でもLGE(+)の7症例が存在しており、心臓MRIでは心駆出力の低下と心室容量の拡大がみられる。動物実験での心筋リモデリング機序の解明と幹細胞移植療法によるリモデリング退縮機序を解明することで、現在行っている臨床研究の治療の効果解析に応用できるのが本研究の特色である。【期待される効果】長期予後が不良である機能的単心室症患における遅発性心不全の惹起原因を突き止め、小児心不全に伴う心臓移植や心不全死の減少に寄与することが期待される。
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