演題

第2部 「日本外科学会臨床研究助成」および「若手外科医のための臨床研究助成」授賞式: 血球成分由来exosomeの癌形質への影響について

[演者] 有田 智洋:1
[著者] 市川 大輔:1, 小西 博貴:1, 小松 周平:1, 塩﨑 敦:1, 大辻 英吾:1
1:京都府立医科大学消化器外科

【背景・目的】exosomeに内包されたmicroRNAが能動的に体液中に分泌され、細胞間の情報メディエーターとして機能することが明らかとなってきた。我々は、癌細胞から分泌されたexosomeが周囲の癌細胞や中皮細胞に取り込まれ機能していることを確認している(投稿準備中)。一方、高度に進行した担癌状態における血球異常は以前より知られており、溶血・貧血の進行、血小板減少などの事象は実地臨床でもしばしば経験される。血球成分にも多くのmicroRNAが内包され、それらが能動的に分泌されることも明らかとなっており、今回『血球から放出・分泌されたexosomeが、癌組織ならびに周囲組織に取り込まれ、更なる癌の悪性度獲得に関与している』との仮説を立て、血球成分中に含有されるexosomeの癌細胞や周囲細胞への取り込みについて検討し、癌細胞の表現型の変化ならびにその分子機序についても検討する。【方法】担癌患者の血液より血球成分を分離し、各々のexosomeを超遠心法にて抽出、各細胞株への添加による取り込みを確認する。exosomeを取り込んだ各癌細胞を用いた機能解析を行い、血球中exosomeが癌細胞の進展に与える影響について評価する。次に、exosomeに内包されるmicroRNAの網羅的解析を行うことで、癌の進展に関与するmicroRNA候補の選定を行い、microRNAのmimic導入あるいはanti-miR導入実験による機能解析から、関連microRNAの同定を行う。同定されたmicroRNAについては、患者血球サンプルを用いた解析も行い、臨床病理学的因子との比較検討から、臨床的意義についても検討する。【結果】赤血球培養液より超遠心法にてexosomeは抽出可能であり、さらに蛍光免疫染色を用いてexosomeが癌細胞や中皮細胞、内皮細胞に取り込まれることを確認した。現在exosomeを取り込んだ各細胞株の機能解析と、microRNAの網羅的解析を進めている。【まとめ】本研究課題によって解明される血球由来exosome含有microRNAの機能解明は、癌の進展ならびに担癌患者病態の総合的な把握を可能とするだけでなく、個別化バイオマーカーとしての応用や、患者自身の血球を利用した新たなDrug Delivery Systemの開発に繋がる可能性を有している。
詳細検索
アプリバナー iPhone版,iPad版 Android版